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中野ジャスティン[関東学院大・投手]
完全復活誓う主将兼エース

 

日米ハーフの父を持つ。
神奈川・向上高時代から140キロ超の速球派として注目され、関東学院大へ進学。
神奈川大学リーグでも順調にキャリアを重ねてきたが、昨年4月に右ヒジを手術。
1年間をほぼ棒に振った形も、すべては進路が決まる今年のため。
投手で主将を務める148キロ右腕は、12年春以来の優勝を狙う。

取材・文=近藤泰秀
写真=大泉謙也



高校3年時は指名漏れも
現実知ったプロの厳しさ


「中野ジャスティン」――。2010年の全国高校選手権神奈川大会で注目を集めた長身右腕だ。日米ハーフの父を持つ、クオーターとしても話題となった。同じ向上高の1年先輩・安斉雄虎(元DeNA)がプロ入りした後のエースを引き継ぎ、日米スカウトから熱い視線が注がれた。高校最後の同夏は乙坂智(DeNA)、近藤健介(日本ハム)を擁する横浜高に敗れ、プロ志望届を提出するも無念の指名漏れ。しかし、秘めた高いポテンシャルへの評価は揺るぐことはなく、神奈川大学リーグ歴代最多優勝54度を誇る関東学院大が、次なるステージを用意してくれた。

「プロへの意識が高まったのも、安斉さんがいたからこそ。でも、昨年に先輩が戦力外通告を受けたことで、プロは行ってからが勝負で、活躍できるだけの力をつけてからでも遅くないと感じたことも確かです」

 気持ちの切り替えの早さ、状況に応じた対処の賢さは、野球人生の節々に現れる。例えば、中学まではサイドハンドだったが、高校入学を機にオーバースローに転向した。

「ずっと体が小さかったんです。165センチそこそこで。でも、高校に入るとグングン伸びて。これならオーバーでも投げられるなと思って」

 中学では3、4番手だった。「試合に出るには特徴を出すしかない」と思っての横手投げ。それが、高校入学から1年間で急成長、眠っていた本格派への思いも目を覚ました。

 そんな意識の高さも買ったのか、当時、就任して間もない関東学院大・鈴木聡監督は、1年生の中野を春のリーグ戦開幕投手に抜てきする。「監督の初陣で、しかも4年生にとっては最後のシーズン。それを考えると相当なプレッシャーで。でも監督に『任せたぞ』と言われると、もう『やるしかない』と決めました」

 結果は、同春に優勝する横浜商大を相手に見事な1失点完投勝利。「緊張するタイプなんですが、意外と大舞台には強いんだなと(笑)」

 翌春、大学選手権に出場すると、またも初戦の先発を任される。東北福祉大を相手に7回まで無得点に抑えたが、1点リードの8回に痛恨の逆転3ランを浴びて、チームもそのまま敗退した。1球の怖さを知るなど、順調に経験を積み重ねていた矢先、3年春にアクシデントが起こる。

体力向上につながった6カ月のリハビリ期間

 昨年3月8日のオープン戦で、衝撃が走った。DeNA二軍との試合(ベイスターズ球場)に先発した中野は好投のさなか・・・

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