1、2年の全日本大学選手権には左翼手として出場。主将となった3年秋に投手へ再コンバートされると、高いポテンシャルを発揮した。心身ともタフであり、シーズンが開幕すれば必ず注目を集めるはずだ。 取材・文・写真=寺下友徳 長野で育ち、山梨・帝京三高時代にはプロ志望届提出も指名漏れ。香川で3年間、研鑽を積み、レベルアップしている
四国地区大学リーグで、投打に注目を浴びる二刀流がいる。四国学院大の主将・
水上由伸だ。3年春までは外野手、遊撃手として、通算206打数70安打35打点、3本塁打、14盗塁。打率.339とリーグ内で傑出した数字を残した。1年春、2年春に外野手でベストナインを受賞。2年春は21安打、打率.525のハイアベレージで首位打者にも輝いている。
リーグを代表する野手だが、3年秋からはマウンドに新たな場所を見出す。「キャプテンとしてチームを引っ張りたかったし、1年春、2年春に外野手で行った全国大会へ投手でいきたいと思った」。帝京三高3年以来のマウンドに上がると、自己最速の149キロ。5試合で39回1/3で4勝1敗、防御率0.69(42奪三振)で3季ぶりのリーグ優勝に貢献している。
続く明治神宮大会代表決定戦では、勝てば代表権を得る
広島経大戦で先発も「自分の力不足です」と、7回途中で降板。チームも敗れ自身3度目の全国舞台を目前で逃したものの実績は色褪せない。リーグ戦では最多勝、最優秀防御率、ベストナインとタイトル3冠に輝いた。
同リーグで投手、打者のタイトルを獲得したのは、1989年秋に最多勝(4勝)と盗塁王(14個)を受賞した高知大・中川明彦(現岡豊高監督)以来。首位打者と投手タイトルを獲得したのは、81年の連盟創設以来初の偉業だ。
“リアル二刀流”が誕生したのも、偶然ではない。長野県で生まれ育ち、4歳から3年間続けた空手でバランス感覚を養った。自他ともに認める負けず嫌いだ。
「ずっと同じ仲間と一緒でしたが、僕は練習試合でも負けると悔しくて泣いていて、とにかく全力でやり続けた。それが、中学校で長野県大会ベスト4に入ることにつながりました」
当時からあった、プロ野球への夢。「県外でプレーしたい」と、あえてこれまで縁のない山梨・帝京三高に進学した。そこで1学年先輩の
茶谷健太(現
ロッテ)と出会ったことにより・・・
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