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2年連続50盗塁は過去のこと。2012年の盗塁王は栄光を捨て、強い決意で勝負の年に挑む。意識改革。内に秘めていた熱い想いが、力強い言葉に変わった。激戦の外野手争いを制し、レギュラーの座をもう一度奪い獲る。「一番・センター」は誰にも譲らない。復活を遂げたスピードスターがチームが掲げる“超機動力野球”の使者となる。
文=田辺泰樹(楽天イーグルス広報) 写真=BBM

あの輝きをもう一度


 スピードスターが風になる―。

 ベースから大きなリードを取って相手投手を揺さぶる。投球モーションを盗み次の塁を果敢に奪う。そして、塁上を駆け回り本塁を一気に陥れる。スピード感に溢れる電光石火の得点。足をからめた攻撃は、見る者を興奮させ、爽快な気分にさせる。スピードスターだけが持つ躍動感。

「盗塁王を獲った2012年のような輝きを取り戻したい」。聖澤諒は失いかけていた感覚を求めて、再び力強く駆け出した。

 2月22日、沖縄セルラースタジアム那覇で行われた巨人とのオープン戦。「一番・センター」で出場したリードオフマンは、その俊足で南国のファンを魅了した。1回表の第1打席では、10球粘った末に四球を選び、二盗に成功した。3回表の第2打席では、中前打と味方の2つの内野ゴロで三塁へ進塁すると、相手の捕逸を呼び込み本塁を踏んだ。極め付きは、5回表の第3打席。二死から左前打を放つと、すかさず二塁を盗む。さらに相手投手のボークを誘って三塁に進み、次打者の内野安打で生還した。

「一つの走塁で相手のミスを突くのも攻撃ですから」。本塁打を打たなくとも1人の力で局面を打開し、得点に結び付ける。この日は、2安打・2盗塁・2得点と活躍。スピードを武器にして一人で試合を支配した。「結果にはこだわっているので、結果が出ることはうれしいですね。これを続けていきたいです」。本人の口からは謙虚な言葉が並ぶ。「どんどん結果を出して、レギュラーを獲りにいく立場ですから」。3年前とは置かれている状況が違うことは、何よりも本人が強く自覚している。

オープン戦は12試合で打率.311、4盗塁、出塁率.340と好調を維持した聖澤。慣れ親しんだ「一番・センター」の座を再びつかみ取るために、猛アピールの日々を送っていた



 08年の大学生・社会人ドラフト4巡目で入団後は、順調な成長曲線を描いた。ルーキーイヤーは新人ながら開幕一軍入りを果たし、代走・守備固めとして出場機会を増やしていく。入団3年目の10年に「一番・センター」を中心として135試合に出場すると、11年は全144試合で打率.288、52盗塁と飛躍を遂げた。

 この勢いは、オールスターゲームにも出場した12年に加速。開幕から積極的に走りまくり、54盗塁をマークして「盗塁王」のタイトルを獲得した。翌春のWBC日本代表候補にも選出され、チームの中心として確固たる地位を確立。不動のレギュラーとして、まさに輝きを放っていた。

 13年、変化が訪れる・・・

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