高卒5年目にして2度の育成落ち、そして2度の支配下復帰。22歳のサウスポーが波乱の多い野球人生を歩んできたことは間違いない。だからこそ変化を求め、変わることで、確かな成長を遂げてきた。その真価を見せるために――。いよいよ準備は整った。 文=北川修斗(スポーツライター) 写真=桜井ひとし、高塩隆、BBM 2つの変化
5年目で初の開幕先発ローテーション入りを勝ち取った。昨オフに2度目の育成選手契約を結び、今季は仕切り直しのスタートだった。190センチの長身に高いポテンシャルを秘めた大型左腕。開幕を前にした大逆転劇には「投球フォーム」と「考え方」の変化という2つのターニングポイントがあった。
「すぐに確信しましたね。あ、これやって」 大胆な変更で生まれ変わった。グラブを持つ右手を高々と上げて、上から振り下ろす新しい投球フォーム。課題だったストレートに力強さが増した。
「今までは普通に投げても137キロとか138キロしか出てなかった。それが軽く投げているのに143キロとか出始めて、『え!?』って。もうそこで、こうやって投げようと決めました。そこからは自分のものにするだけでしたね」 昨オフに就任した
久保康生投手コーチの助言もあり、たどり着くことができた新境地。自分でも驚くほどの手応えだったという。だからこそ、2度目の育成選手契約が伝えられていた昨年11月の秋季練習でも、ジャイアンツ球場のブルペンには悲壮感ではなく、希望に満ちあふれた横川凱の姿があった。契約更改後の会見でも
「支配下はまったく意識していない。そこは当たり前だと思っている。2ケタ勝利できるように頑張りたい」と力強く言い切った。
ここからは信じて、その道を突き進むだけ――。そう思えたのは、もがき続けた日々があったからこそだった。
「一軍で活躍するにはどうしたらいいかしか考えていない」 12年目の2020年11月8日の
ヤクルト戦(東京ドーム)では、プロ初先発で5回1失点と好投。21年にも2試合に先発するなど、結果だけなら順調な成長曲線を歩んできたように見える。それでも
「去年までは、一軍でも二軍でもずっと、このままじゃ無理やって思っていた。変化球しか投げられない自分に対して、しょぼいなと思いながらずっと投げていた」という。
直球の球威を求めて模索する日々。
「自分の力に自信がなかった」 だからというわけではないが、オフの非情とも言える2年連続の育成契約も想定内だった。宮崎でのフェ
ニックス・リーグ中に言われ、
「まあ、『またか』とは思いましたけど・・・
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