今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。おかげ様で、すでに通算3500号が近づいている。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 本文巻頭は『長嶋・杉浦の対決』
今回は『1959年11月11日号』。定価は30円だ。表紙は初のモノクロ写真。枚数が多かったので、着色が間に合わなかったのだろうか。巻頭グラビアはMVPに輝いた南海・杉浦忠、巨人・藤田元司、首位打者の巨人・長嶋茂雄、南海・
杉山光平、新人王の東映・
張本勲、大洋・
桑田武を紹介している。センターグラビアは日本シリーズに出場する南海、巨人の主力選手名鑑だ。
本文巻頭は『長嶋・杉浦の対決』。日本シリーズ最大の注目である立大同期の対戦に注目している。
両者の言葉だ。
杉浦 巨人打線でマークするのは、もちろん長嶋だ。セ・リーグの中でもっとも穴が少ない打者だと思う。しかし、そうかと言って全然スキがないとも言えない。どんな好打者でも弱点があるはずだ。だから、そこを丹念についていこう。いままでオールスターで打たれたのはストレートばかりだから、こんどはもっと違った球も投げてみる。
長嶋 いままでの対決はオープン戦やオールスターで真剣勝負ではなかった。まわりがさわぐほど、ぼくたちはお互いを意識していなかったわけだ。今度の対決こそ真剣勝負だとファイトを燃やしている。ぼくとしては杉浦の横の変化を打つことだと思う。あとは、そのときになってみなければ分からない。
座談会は『巨人の泣きどころはここだ!』で西鉄の
稲尾和久、
関口清治、
豊田泰光が出席。最初と最後の豊田の言葉が“らしい”。
(冒頭)
記者 過去三回巨人と戦われたみなさんに、巨人の泣き所とかについて語ってもらいたいのですが。
豊田 どっちが勝ったって関係ないこっちゃ。第一カネにならないもの(笑)
(最後)
記者 しかしこの日本シリーズもパ・リーグ対セ・リーグの看板がかかっているのですから、なんのかんのいっても気になるでしょう。
豊田 いやあまり気になりません(笑)。
それはそうだ。
ペナントレースで通算301勝を挙げ、スタヒンと並ぶ史上最多勝となった巨人・
別所毅彦が登場する座談会もあった。当時の
スタルヒンの勝利は戦前2勝分が取り消されているが、のち復活し、現在は303勝となっている。ほか別所夫人、スタルヒン夫人(スタルヒンはすでに死去)、NHKの志村正順アナが出席し、『三○一勝までの泣き笑い』とタイトルがついている。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM