ナインを笑顔で迎える王監督
プロ野球の歴史の中から、日付にこだわってその日に何があったのか紹介していく。今回は3月18日だ。
細かいことで申し訳ないが、この連載で時々悩むのは、現地時間か日本時間か。
過去、何度か逆パターンもあったが、紛らわしいので今後は同じとさせてもらい、カッコで現地時間と記す。
2006年3月18日(現地時間)は、日本球界にとって忘れられない日だ。あの第1回WBC準決勝、韓国戦である。
舞台はアメリカ、サンディエゴのペトコ・パーク。日本はアジアラウンド、第2ラウンドと格下と思っていた韓国にまさかの連敗を喫し、この試合後、
イチローは「きょう負けたら日本プロ野球の汚点になると思いました」と言った。
試合は雨で20分遅れのスタートとなる。観客の大半は韓国側の応援。特にイチローが打席に入ると大ブーイングが起きた。
当初は重苦しい展開となり、互いのスコアボードに「0」が並ぶ。試合が動いたのは、0対0で迎えた7回表だった。
先頭の
松中信彦が気迫のヘッドスライディングを見せ、二塁打。一死後、前戦まで大不振でスタメンを外れていた
福留孝介が代打で出て、2ラン。塁を回りながら、何度もほえ、天に向かい、拳を突き上げた。これで空気が一変。その後、
里崎智也、
宮本慎也、イチローにもタイムリーが生まれ、一挙5点のビッグイニングになった。
投げては先発の
上原浩治が完ぺきなピッチングで7回無失点。日本代表は、8回にも
多村仁のソロが出て6点目を取り、その後、
薮田安彦、
大塚晶則で完封リレー。6対0で勝利し、決勝進出を決めた。
韓国に連敗した後、「僕の野球人生最大の屈辱」と言っていたイチローは「勝つべきチームが勝たなきゃいけないと思いました。それが僕らだと思いました」と胸を張り、
王貞治監督は「三度目の正直で日本の野球ができた。今回のチームは日本最強。勝ち負けは分かりませんが、キューバとも素晴らしい試合ができると思います」と決勝への意欲を語った。
写真=BBM