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ベースボールゼミナール

単独スチールの際、打者が捕手の送球を遅らせるテクニックは?/元中日・井端弘和に聞く

 

読者からの質問にプロフェッショナルが答える「ベースボールゼミナール」。今回は内野守備編。回答者は現役時代、7度、ゴールデン・グラブ賞に輝いた、元中日ほかの井端弘和氏だ。

Q.走者一塁から単独盗塁のサインが出たとき、走者を助けるために空振りをするように監督から言われています。そのほかに捕手の送球を遅らせるような良い方法はありますか。プロの高度なテクニックがあれば教えてください。(秋田県・32歳)



A.明らかに遅過ぎるスイングは注意を受ける可能性も。本気の空振りとバントの構えが効果的


元中日・井端弘和氏


 これは打者のテクニックの話ですから、“打撃編”のようにも感じますが、“走塁”を助けるテクニックということで、“走塁編”で私が解説します。

 盗塁は投手がしっかりとけん制ができて、クイックも一定レベルのスピードで、捕手の技術力がそこそこであれば、圧倒的にバッテリーが有利で、タイム的には走者はかなわない、というのが常識です。しかし、そこにはさまざまな駆け引きがあって、今回のお話は「打者がバッテリーを惑わせて走者の盗塁成功をアシストするには?」というテーマとなります。

 質問にもあるように、空振りをする、捕手を惑わせるようにスイングを途中で止める、まったくタイミングを遅らせてバットを振るといった方法は、私も小さいころから経験してきた、やり方の1つだと思います。しかし、最近の大学、高校野球などアマチュア野球を見ていると、審判員が厳格にルールを適用するので、例えば明らかに捕手の二塁送球を妨害するような遅過ぎるスイングなどは、厳しく注意されているようです。

 ただ、捕手が二塁に最も投げにくいのは、打者に振られることですから、そこはルールに則って、言い方は微妙ですが、本気で空振りしにいくことでしょう。これもテクニックといえばテクニックですね。打者側から考えても、ムダにワンストライクをあげるのではなく、その後の自分の打席のためにしっかりとタイミングを合わせるという経験を積むことができます。このような本気のスイングは、捕手も嫌だと思いますよ。

 次に効果的だと思われるのは、バントの構えをし(もちろん送る気満々で)、実際にバントをするときと同じように投球の軌道にバットを合わせてあげることです。そうしてインパクトギリギリのところで素早くバットを引く(バントの動作をやめる)。捕手もすぐに二塁送球の体勢には移りづらいですし、コースによってはバットがブラインドとなって捕手の目からボールが見えず、キャッチングミスをすることも少なくありません。

 注意してほしいのは、バットを引くのが遅れてファウルにしてしまうこと。練習してみてください。

●井端弘和(いばた・ひろかず)
1975年5月12日生まれ。神奈川県出身。堀越高から亜大を経て98年ドラフト5位で中日入団。14年に巨人へ移籍し、15年限りで現役引退。内野守備走塁コーチとなり、18年まで指導。侍ジャパンでも同職を務めている。現役生活18年の通算成績は1896試合出場、打率.281、56本塁打、410打点、149盗塁。

写真=BBM
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