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週べ60周年記念

楽しそうな? グローバル・リーグ/週ベ回顧

 

 昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。

スカンク登場で試合中断


表紙は左から東映・大杉勝男張本勲



 今回は『1969年6月16日号』。定価は60円。

 同じ号からの第2弾。
 世界を股にかけた第2のメジャー・リーグと景気よくスタートした「グローバル・リーグ」の中間報告だ。

 5月17日、羽田空港に姿を現したのが、東京ドラゴンズの森徹監督。「6月に日本でやるグローバル・リーグ公式戦の下準備のため」と言っていた。

 グローバル・リーグのディルベック会長は、当初、東京、大阪、札幌、静岡などで25試合を行うと発表していた。
 来日チームは日本、ベネズエラ、プエルトリコ、ニューヨークの4チームの予定で、日本だけでなく、韓国、台湾、グアム、ハワイなども回るという。
 一時はすべて米軍基地で、という話もあったが、森が「そんなことはありません」と否定した。

 しかし、ベネズエラのカラカスからの一報で、森監督は、ふたたび海を渡ることになった。
 その知らせの内容は、なんとホテル代の未払いである。

 カラカスでは日本だけでなく、ロサンゼルス、ニューヨークの3チームがホテル代未払いのため食事がストップし、立ち退きを求められているという。
 宿泊費はリーグが負担のはずだが、それが滞り始めていた。

 ただ、森は自信満々に言う。
「一時はそういう心配もあったが、資金面はもう大丈夫だ。今まではディルベック会長1人が資金を出していたが、スペクトラムというアメリカの興行会社の代表が株式の半分を引き受けてくれた」
 とぼけてごまかすタイプではなかったから、この時点では森監督も、日本チームに何が起こっているのか完全には把握していなかったということだろう。

 だから土産話も呑気になる。少し紹介しておこう。

 森監督は筋骨隆々の体もあって、現地で「柔道五段、合気道五段。ロンドン警視庁で柔道と合気道を教えた男」と言われ人気があったようだが、実際にはロンドンなど行ったことはなく、柔道、合気道の五段もウソ。しかし、本人は「あえて訂正することもあるまい」とすましていたという。

 オープン戦は4月10日から始まり、開幕戦は4月24日、ベネズエラ戦で会場はカラカス球場。開会式では日本選手がディルベック会長、さらには夫人を胴上げするなど大騒ぎとなった。
 試合は0対6で敗戦。2戦目はバスで2時間移動したマラカイで、やはりベネズエラと対戦したが、試合中、ライトの吉田が「猛獣が出た」とタイムを要求。確かめるとスカンクだったという。

 演出の派手さもグローバル・リーグの売りだったようで、5回終了時点で由美かおる級(と書いてあった)のかわい子ちゃんら男女10人が登場。女子は網タイツ姿だったが、ダンスの後、ホームから次々一塁へスライディング。かわいいお尻は砂だらけ。すかさずナインから「俺がはたいてやるよ」と声が飛んだ。

 グローバル・リーグ流の新ルールもあった。メンバー不足ゆえのものだが、やや“先取り感”もある。
「代打は3人までメンバー表にかける。九番の横に書いてあれば、九番の打順が回ってくるたびに打てる。ただし、守備はできない」
 これはDHのようなものだ。メジャーの導入が1973年だから早い。
「敬遠の四球は、投手と捕手が打ち合わせて審判にアピ―ルすれば成立する」
 これは申告敬遠か。ちなみに代走は何度も出場可能という。ソフトバンクであれば、毎回、周東を使えるということか。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM
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