2019年シーズンを振り返ると、各チーム多くの新戦力が台頭した。チーム内の競争が激しくなれば、スタメンの入れ替わりも多くなるもの。では、今シーズン、スタメンの入れ替わりが最も多かったチームはどこなのだろうか。
最多チームは総勢31人が名を連ねた
今シーズンのスタメンを調べ、投手を除いて起用された人数をカウント。その結果、起用人数が多い順に以下のようになった。
●1位
オリックス……31人
2019年シーズン、最もスタメン起用人数が多かったのがオリックス。総勢31人が起用された。フル出場は
吉田正尚のみ。上位打線、下位打線ともに入れ替わりの激しいシーズンだった。なかなかスタメンが固定できなかったのも、リーグ順位に少なからず影響しているのかもしれない。
●2位
中日、
ソフトバンク、
楽天……27人
次に多かったのは中日、ソフトバンク、楽天の3チーム。中日は
大島洋平、
ビシエド、
高橋周平といった主力陣は順調だったが、下位打線の入れ替わりが多かった。ソフトバンクはケガ人が多く出たことに尽きる。おかげで
周東佑京というニュースターが生まれたが、各選手が順調なら
西武のリーグ2連覇はなかったかもしれない。楽天は六番以下の入れ替わりが多く、特にシーズン中盤はその傾向が強かった。
●5位 巨人、
ロッテ、
広島……24人
巨人は
坂本勇人、
丸佳浩、岡本和真といった中軸は固まっていたが、故障離脱や外国人選手の不調もあって新戦力の起用が増えた。広島とロッテは主に下位打線の入れ替えが多く、一時期は日替わり状態だった。このあたりが改善すれば、来季のAクラス入りも見えてくるだろう。
●8位
DeNA、
日本ハム……23人
思い切った選手起用が特徴のDeNAと日本ハムだが、意外と固定メンバーで戦うことが多かった。
筒香嘉智がいない来季のDeNAは、今シーズン以上に新戦力の台頭が重要になるが、果たしてどのような選手が多く起用されるのか楽しみだ。日本ハムは来季3年目の
清宮幸太郎の活躍を期待したい。
●10位 阪神……22人
阪神は下位打線の入れ替えが多く、結果的に22人を起用。しかし、
大山悠輔、糸原健斗はフル出場、100試合出場選手9人と、年間を通してスタメンのメンツはあまり変わらなかった。来季も今シーズンの陣容から大きく変わることはないだろう。
●11位 西武……21人
今シーズンの西武は打順の入れ替わりはあるものの、起用メンバーが変わることは少なかった。下位打線で
佐藤龍世、
愛斗、
岡田雅利などの選手が起用されたが、上位打線はほぼ同じメンバー。その結果、パ・リーグでは初となる「日本人の5選手が本塁打20本以上」を達成した。
●12位 ヤクルト……20人
12球団で最もスタメン起用人数が少なかったのがヤクルトで、スタメンがほぼ固定された西武よりもさらに少ない20人だった。上位打線は
山田哲人、
青木宣親、バレンティンといった主力と、今シーズンブレークした
村上宗隆が主に務め、下位打線も既存の選手を入れ替えて起用。これが功を奏したのか打線は好調で、リーグ2位の656得点をたたき出した。
今シーズン、最もスタメンの入れ替わりが多かったのはオリックスで31人。反対に最も少なかったのがヤクルトの20人だった。くしくもそれぞれのリーグの最下位チームとなった。今季のオリックスは打線が不調で、その状況を変えるために新しい戦力の起用が増えたが、残念ながらうまくはいかなかった。一方のヤクルトは序盤から打線が好調で、そこまで手を入れる必要がなかったのが、起用人数が少なくなった要因だろう。
この結果を見る限りでは、オリックスのように入れ替わりが多すぎても打線が成熟せず、かといって入れ替わりが少なくても、阪神のように得点力が向上しないこともある。もちろん入れ替わりが多くても安定していたソフトバンクや、打線を固定することで得点力を高めた西武の例もあるので、大事なのはどの選手を起用するかという点に尽きるだろう。果たして来季はどのチームが最も多くの選手をスタメンに起用するのか、またどんな新戦力が台頭するのかに注目だ。
文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM