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週べ60周年記念

ヨネカジの怒り/週ベ回顧

 

 一昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。

飯島秀雄が盗塁王?


表紙は近鉄・太田幸司



 今回は『1970年6月29日号』。定価は80円。
 
 巨人の世代交代の話があった。
 川上哲治監督が1969年に5連覇(初出修正)を成し遂げたが、その際、「8連覇はできる」とはっきり宣言した。日ごろ慎重な答えが多い川上監督にしては珍しい答えだったが、これはそれだけ現在のONを軸としたチームに自信を持っているからであり、逆に「それはあと3年」と見ていたからでもあった。

 実際、長嶋茂雄に明らかな力の衰えが見え始めながら、なかなか新しい世代が伸びていなかった。
 これは明らかにドラフト制度によるものだった。
 阪神田淵幸一をはじめ、かつてであれば、すんなり巨人に入っていた選手を逃す中で、中心選手の膠着化。高齢化が進んでいた
 もちろん、ドラフト自体は12球団の条件が平等になったに過ぎず、巨人のドラフト戦略の甘さと。あとは外国人を取らないという“純血主義”の限界も言われていた。

 黒い霧の余波は続き、ある雑誌で、元西鉄・永易将之が新たに11人の八百長選手の名前を挙げたらしい。その中に阪急のヨネカジこと梶本隆夫米田哲也の名前もあった。
 さすがにこれはデマだったようで、ふだんは温厚な梶本が激怒り。

「阪急に入団して17年になるが、こんな嫌な気持ちになったのははじめてだ。どんなチームが苦しいときでも、ワシは精いっぱい努力してきた。それなのにまるでワシとヨネが何か悪いことをしたように書いてある。事実無根であっても活字になるとファンが疑う。許せない」
 米田もまた、
「バカらしくて話にならん。永易がなっていったか知らないが、永易の言うことだけ取り上げて、活字にするという一方的な方法でいいかどうかだ」
 と怒っていた。

 さらに阪急では黒い霧の後、選手の素行についての批判が増えていたのを受け、選手会が移動の際、背広、ネクタイを義務付ける決定をした。
 注目は西本幸雄監督が「あのちゃらんぽらんな性格はなんとかならんのかな」とこぼす、無頼派選手・石井茂雄。この人、ポロシャツ、ジーンズ、ゴム草履がトレードマークだった。
 果たして、服装を変えたのか否か……の記事はなかった。

 また、八百長事件で永久追放となった西鉄の与田順欣の話もあった。追放の宣告を受けた際、「私は永易(将之)のように八百長をネタに金儲けするようなことはしない」と話していたが、最後の給料袋にはがっくりしたようだ。
 なんと1万5000円。年俸250万円といわれ、それまでは月々20万円ほどをもらっていた。
 球団の説明はこうだ。
「5月2日から出場停止処分で試合に出ていないのだから当然少なくなります。25日までの日割り計算をして、そのほかの差し引き分を一括して引いたもの」
 まあ、それはそうか。

 100メートルの日本記録、ロッテ飯島秀雄。1年目は「目標は55盗塁」と言いながら故障もあって10盗塁に終わったが、この年はなかなか好調。早くも昨年の10盗塁をクリアした(6月11日現在)。
「去年は走ってもケガをするのでは、がずっと頭にあったが、体に自信を持った今シーズンはそんな不安もない」
 と飯島。ファンも「ここは代走」という場面が来ると、
「代走飯島」「飯島を出せ」という声があがるようになった。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM
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