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ベースボールゼミナール

先発とリリーフの日々の調整やトレーニング方法は?【後編】/元阪神・藪恵壹に聞く

 

読者からの質問にプロフェッショナルが答える「ベースボールゼミナール」。今回は投手編。回答者はメジャー・リーグも経験した、元阪神ほかの藪恵壹氏だ。

Q.プロの世界では投手の完全分業制が進んでいますが、先発と中継ぎ、そしてクローザーでは投げるイニングや求められるスキルが違うので練習メニューも異なると思いますが、日々のトレーニング、オフのトレーニングなど違いを教えてください。(群馬県・18歳)


イラスト=横山英史


 中編の続きです。前編では主に日本での先発投手のペナントレース中のトレーニングについて、中編ではメジャー・リーグの先発投手、リリーフ投手のスケジュール、内容について説明しました。

 そのリリーフのスケジュールについて、首脳陣が調整をし、休養がしっかりと設けられていると解説しましたが、一部例外もあります。クローザーやセットアッパーです。僅差(これは球団によって判断が異なります)の8回はセットアッパーのものですし、9回はクローザーのものと決まっていて、ほかのピッチャーが指名されようものなら、彼らは激怒します。「オレがクローザー(セットアッパー)だろ? なんで行かせないんだ?」と。それが3連投でも、4連投でも、どんなに苦しかろうと、そこは彼らの“場所”なのです。

 もちろん、負けているゲームでは彼らの出番はほぼないですし、大差で勝っているようなゲームも、ロングマンや登板間隔の空いてしまったピッチャーが登板することになるのですが(この条件ならば問題ない)、僅差はどんなに連投でも「投げる」というプライドをクローザー(セットアッパー)たちは持っています。

 さて、話が逸れましたがオフのトレーニングについても触れましょう。せっかくですからメジャーのスケジュールで進めていきます。1度、休んでリセットし、11月の第4木曜日にある感謝祭が終わると、再始動します。日本の選手は休みなしで動き続ける選手も多いですが、春秋のキャンプを含めると12、1月の2カ月しかオフ機関がありません。メジャーは秋のキャンプはなく、春も少しだけ。プレーオフを含めて8カ月がシーズンで、あとはオフなので、しっかりと休養を取ることも大事ととらえています。4カ月のオフの間、大学に行く選手もいれば、お金が足りなければウィンター・リーグに参加したり、ほかの仕事をする選手もいます。余談ですが、このような環境のおかげでセカンドキャリアにもすっと移行できますね(何もしないほうがほとんどですが)。

 オフの間はホームタウンで練習するか、スプリングトレーニングをしているアリゾナやフロリダに行く選手もいます。内容はポジションによってというよりも、人それぞれで、それは日本も変わりません。いろいろ試せる時期でもあるので、充実していますよ。

<「完」>

●藪恵壹(やぶ・けいいち)
1968年9月28日生まれ。三重県出身。和歌山・新宮高から東京経済大、朝日生命を経て94年ドラフト1位で阪神入団。05年にアスレチックス、08年にジャイアンツでプレー。10年途中に楽天に入団し、同年限りで現役引退。NPB通算成績は279試合、84勝、106敗、0S、2H、1035奪三振、防御率3.58。

『週刊ベースボール』2020年2月10日号(1月29日発売)より

写真=BBM
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