並々ならぬ思いを持って、開幕戦のマウンドに立つ。
3年連続6度目の開幕投手が決まっている巨人の菅野智之が、3月20日に向けて一歩、また一歩、階段を上っている。オープン戦3試合目となった6日の
オリックス戦(京セラドーム大阪)では9安打を浴びるも6回1失点の粘りの投球を披露し、「これだけヒットを打たれて6回を85球でまとめられたのはいいことだと思います。シーズン中、こういう展開の試合は絶対にある。いい試合ができたと思う」と手応え。
初球のストライク率を上げるチームの方針に沿って球数をセーブし、6回二死三塁で迎えたこの日の最後の打者へは150キロのストレートを投げ込むなど、余力を感じさせる内容だった。「細かいところはいっぱいある」と反省も忘れない右腕だが、まだ開幕へ向けての調整段階。
原辰徳監督も「まあまあ良いコンディションだと思いますね」と、最終調整に入るエースに信頼を寄せている。これでオープン戦通算3試合14イニングで9奪三振、防御率1.93。開幕までにはあと1試合、オープン戦への登板が予定されている。
コンディション不良や腰痛に苦しみ、戦線離脱を繰り返した2019年を「振り返りたくない1年」と言う。ただし、「この経験を生かすも殺すも自分次第」と求めたのは沢村賞を2年連続(2017、18年)で受賞した過去の自分ではなく、それを超えるための新たな姿。新フォームへのチャレンジや、オフのトレーニングを見直したのはそのためだ。
「これまで以上を狙うならば、変わる必要があるし、変わらなきゃいけない」
3月11日発売の週刊ベースボール3月23日号では、勇気をもって進化に挑んだ菅野智之にインタビュー。オフのトレーニングや新フォームの意図、開幕を前にした率直な思いに迫っているので、お楽しみに。
文=坂本 匠 写真=小山真司