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外野手のグラブはどのようなモデルを選べばいいのか?/元西武・平野謙に聞く

 

読者からの質問にプロフェッショナルが答える「ベースボールゼミナール」。今回は外野守備編。回答者はゴールデン・グラブ賞に9度輝いた名手、元西武ほかの平野謙氏だ。

Q.少年野球を始めた息子を持つ親です。外野手のグラブはどのようなモデルを選べばいいのですか?(山形県・39歳)


西武時代の平野氏の外野守備


A.バット同様、ある程度、使いこなせる重さが最低条件。グラブの芯、ポケットの部分はかなり柔らかくしていた

 グラブに関して、特に子どもたちは、形がどうこうの前に、まずは扱いやすい重さであることが重要です。大人たちは忘れがちですが、子どもにとってグラブはもともと重い物で、それを試合の守備中、ずっと持ち、かつ全力疾走もするわけですから、どうしても重過ぎると疲れてしまいます。バット同様、ある程度、使いこなせる重さが最低条件と言えるでしょう。

 形的には、外野手だとより高い打球、あるいは左右でも少しでも先まで届くように、タテに長いグラブのイメージがあるかもしれません。実際、とてもルールどおりとは思えない長いグラブを使っている選手もいましたが、僕は自分に合ったグラブが一番いいという考えでした。ぎりぎりのプレーも大事ですが、まずはボールに追いつき、しっかり捕らなきゃいけない。高校のときはピッチャー、内野、外野をすべてやりましたが、1つのグラブで全部やって、何の不自由もありませんでした。

 革の硬さ、柔らかさも同様に個人差があり、一番使いやすいものを個々で探せばいいと思いますが、僕はグラブの芯、ポケットの部分は、かなり柔らかくしていたし、1カ所にするようにしていました。最近は最初から革が柔らかく、捕りやすくなっているグラブも多いのですが、やはり、それでも自分でポケットをつくったほうがいいと思います。そのためにはキャッチボールからしっかり自分の捕る場所を決め、そこに行けば、ボールがすっと収まるようにしておくことが大事だと思います。

イラスト=横山英史


 柔らかくすると、当然、手のひらは痛いですが、僕は気にしないようにしていました。痛くないように捕りたいと思うと、どんどんウエブの近くで捕り出すようになり、そうすると、せっかくつくったポケットが崩れ、深いグラブになってしまうからです。深くなると捕った後、少しですがボールを探すのにタイムラグが出てしまいます。多少、痛くてもボールを捕っている感触を味わいながらやっていくと、自然と捕球技術もグラブの形もよくなると思います。

 手入れについては油を塗って乾燥させず、しっとり柔らかさを保つこと、汚れたらクリーナーできれいにすることですかね。僕は、かなりメンテナンスはしっかりしてやっていたほうだと思います。ゲン担ぎじゃないけど、丁寧に扱わないと革が怒って、ちゃんと捕れなくなるような気がしたからです。弱気ですかね(笑)。

●平野謙(ひらの・けん)
1955年6月20日生まれ。愛知県出身。犬山高から名商大を経て78年ドラフト外で中日入団。88年に西武、94年にロッテに移籍し、96年現役引退。現役生活19年の通算成績は1683試合出場、打率.273、53本塁打、479打点、230盗塁。

『週刊ベースボール』2021年4月5日号(3月24日発売)より

写真=BBM
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