夏の甲子園大会は、3年生の高校球児にとって集大成だ。その頂点に立ったチームで「エース」として活躍した選手は、特にプロから注目を集めることになる。では、夏の甲子園の優勝投手は、何人がプロの世界に入っているのだろうか?
2019年までのプロ入りの割合は?
今回は、ドラフトが実施される前年、1964年から2019年(2020年は新型コロナのため中止)までの「夏の甲子園優勝投手」を対象に、「プロ入り人数」と「ドラフト指名順位の平均」を調べてみた。
まずは「プロ入り人数」だ。1964年から2019年までの56年間で、夏の甲子園優勝投手は55人いる(桑田真澄が2度優勝投手になっている)。この55人うち、後にプロ入りしたのは以下の28人だ。
1965年
上田卓三(三池工 ⇒ 南海)
1966年
加藤英夫(中京商 ⇒ 近鉄)
1972年 水江正臣(津久見 ⇒
ヤクルト)
1974年
土屋正勝(銚子商 ⇒
中日)
1975年
小川淳司(習志野 ⇒ ヤクルト)※大卒入団
1977年
松本正志(東洋大姫路 ⇒ 阪急)
1978年
西田真二(PL学園 ⇒
広島)※大卒入団
1979年
石井毅(箕島 ⇒
西武)※社会人後入団
1980年
愛甲猛(横浜 ⇒
ロッテ)
1981年
金村義明(報徳学園 ⇒ 近鉄)
1982年
畠山準(池田 ⇒ 南海)
1983年 桑田真澄(PL学園 ⇒
巨人)
1985年 桑田真澄(同上)
1987年
野村弘樹(PL学園 ⇒ 横浜)
1989年
吉岡雄二(帝京 ⇒ 巨人)
1990年
南竜次(天理 ⇒
日本ハム)
1991年
背尾伊洋(大阪桐蔭 ⇒ 近鉄)
1998年
松坂大輔(横浜 ⇒ 西武)
1999年
正田樹(桐生第一 ⇒ 日本ハム)
2001年
近藤一樹(日大三 ⇒ 近鉄)
2005年
田中将大(駒大苫小牧 ⇒
楽天)
2006年
斎藤佑樹(早実 ⇒ 日本ハム)※大卒入団
2010年
島袋洋奨(興南 ⇒
ソフトバンク)※大卒入団
2012年
藤浪晋太郎(大阪桐蔭 ⇒
阪神)
2013年
高橋光成(前橋育英 ⇒ 西武)
2015年
小笠原慎之介(東海大相模 ⇒ 中日)
2016年
今井達也(作新学院 ⇒ 西武)
2017年
清水達也(花咲徳栄 ⇒ 中日)
2018年
柿木蓮(大阪桐蔭 ⇒ 日本ハム)
約半分がプロの世界に入っていることになる。優勝投手はプロから注目を集める存在ではあるものの、すべてがプロ入りを果たすわけではないようだ。優勝のマウンドに立っていたとしても、スカウトから高い評価が得られなかったり、2年時に優勝したものの、3年時には活躍できずに評価を落としたりした選手もいる。また、そもそもプロ入りを考えていないというケースもある。とはいえ、過去10年では7人がプロ入りを果たしており、優勝投手が期待される存在であるのは間違いない。
夏の甲子園優勝投手のドラフト評価は?
横浜高・松坂大輔
プロ入りを果たした優勝投手は28人いるが、ドラフト指名時の「順位」はどのようになっているのだろうか? 次は「夏の甲子園優勝投手」のドラフト順位を調べたところ、多い順に以下のようになった。
●1位指名……16人
上田卓三、土屋正勝、松本正志、西田真二、愛甲猛、金村義明、畠山準、桑田真澄、松坂大輔、正田樹、田中将大、斎藤佑樹、藤浪晋太郎、高橋光成、小笠原慎之介、今井達也
●2位指名……1人
加藤英夫
●3位指名……3人
石井毅、野村弘樹、吉岡雄二
●4位指名……3人
小川淳司、南竜次、清水達也
●5位指名……3人
背尾伊洋、島袋洋奨、柿木蓮
●6位指名……1人
水江正臣
●7位指名……1人
近藤一樹
さすがに優勝投手となると評価は高く、28人中16人がドラフト1位指名でプロに入団。ただ、次に評価の高い2位指名では1人しかおらず、3位、4位、5位が3人ずつとなっている。高卒で入団することもあり、将来性を見越して3位や4位、5位といった順位で指名されるケースも少なくない。
今年は2019年以来、2年ぶりの夏の甲子園開催となる。最速157キロ右腕の
風間球打(明桜)をはじめ、プロ注目の投手の活躍が期待されるが、果たして誰が優勝投手となるのだろうか? また、今年の優勝投手はプロに何位指名で入るのか、ぜひ注目してもらいたい。
文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM