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ドラフト単独1位指名選手はどんな成績を残している? 活躍しているのは誰?

 

広島のクローザーとして活躍している栗林


 昨年のドラフト会議では、日本ハム、広島、DeNA中日の4チームが単独1位指名に成功した。このうち、広島が獲得した栗林良吏は新人による開幕からの無失点記録を更新し、現在リーグ2位の30セーブ。新人王の最有力候補だ。また、日本ハムが指名した伊藤大海は現在9勝8敗、防御率3.02と先発の柱として活躍。この2チームは「一本釣り大成功」といえるが、他に単独1位指名で活躍している選手といえば誰がいるのだろうか?
※成績は10月9日現在

投打の要など、主力選手へと成長した選手が多い


 今回は、2011年から2020年までの過去10年間、1巡目1回目選択で単独指名に成功した「一本釣り選手」の成績を調べてみた。まずは2011年から2015年までだ。
※選手の並びはドラフト指名順

●2011年
野村祐輔(広島)
伊藤隼太(阪神)
十亀剣(西武)
武田翔太(ソフトバンク)

 2011年ドラフトでは4人が単独指名された。野村は1年目から先発ローテーション入りして9勝11敗、防御率1.98の成績を残し、平成生まれ初の新人王に輝いた。2016年には最多勝のタイトルを獲得している。西武の十亀、ソフトバンクの武田はともに2ケタ勝利を記録するなどチームに貢献したが、ここ数年は調子を落としている。唯一の野手である伊藤は、不動のレギュラーにはなれなかったが、勝負強い打撃でチームに貢献するも、昨季でチームを退団した。

●2012年
福谷浩司(中日)
菅野智之(巨人)
大谷翔平(日本ハム)

 2012年は巨人が相思相愛の菅野を獲得し、日本ハムはメジャー志望だった大谷を強行指名し、説得の末に入団。中日は大学野球で活躍した福谷を単独指名した。菅野は新人王を逃したものの、巨人のエースとして沢村賞2回をはじめとする数々のタイトルを獲得。今季は不調だが、通算106勝56敗と驚異的な成績を残している。大谷は投打の二刀流での起用でありながらも、2015年は最多勝、最優秀防御率のタイトルを獲得。2018年からはMLBにプレーの場を移し、今季はセンセーショナルな活躍を見せた。福谷は長らく中継ぎでの起用が続いていたが、昨季から先発に転向。今季は開幕投手に任命されたが、5勝10敗と実力を発揮しきれていない。

●2013年
吉田一将(オリックス)
森友哉(西武)

 2013年も2選手が単独1位指名された。吉田は1年目に5勝をマークするも、翌年は調子が上がらずに中継ぎに転向。以降、中継ぎとしてここまで55ホールドの数字を残したが、今季は一軍登板がなく自由契約となった。森は1年目から高い打撃力を武器に活躍し、徐々に捕手としての起用も増加。2019年には捕手としては史上4人目となる首位打者も獲得するなど、攻守の要となっている。

現在、巨人の四番を打つ岡本も単独1位指名だった


●2014年
高橋光成(西武)
野村亮介(中日)
中村奨吾(ロッテ)
山崎福也(オリックス)
岡本和真(巨人)
松本裕樹(ソフトバンク)

 2014年は大量6選手が単独1位指名で入団した。このうち、最も活躍しているのが岡本だ。入団から3年間は二軍でのプレーが中心だったが、2018年にオープン戦で結果を残したことで開幕スタメンを勝ち取ると、この年は3割、30本塁打、100打点をクリア。以降、4年連続30本塁打をマークするなど、巨人の四番として確固たる地位を築いている。また、今季は打撃面でも著しく成長した中村奨吾、駒不足の西武先発陣をけん引する高橋も、活躍している単独1位指名選手といえる。

●2015年
今永昇太(DeNA)
吉田正尚(オリックス)
多和田真三郎(西武)
岡田明丈(広島)
桜井俊貴(巨人)

 2015年のドラフトでは5人が単独1位指名された。これまでに2ケタ勝利2回、今季は復調の気配を見せるDeNAの今永や、残念ながら今季で自由契約となったが、最多勝のタイトルを獲得した多和田など粒ぞろいだ。しかし、注目すべきはオリックスの吉田だろう。初めて規定打席に到達した2018年から3年連続で3割を記録。昨季は首位打者にも輝いた。現在は骨折で離脱中だが、打率はリーグ1位のため2年連続で首位打者になる可能性も高い。ちなみに、この年のオリックスが最下位で指名したのが杉本裕太郎。大当たりのドラフトだった。

広島は有望株を2年連続で単独指名


 次は2016年から2020年までの単独1位指名選手を振り返ってみた。

●2016年
山岡泰輔(オリックス)
藤平尚真(楽天)
寺島成輝(ヤクルト)
今井達也(西武)
大山悠輔(阪神)

 2016年は5人が単独1位指名された。山岡は1年目から先発ローテーション入りし、2019年には13勝をマーク。しかし、以降は低迷しており、今季は右ヒジの手術を受けた。現在、チームの主力なのは阪神の大山、西武の今井の2人。大山は今季低迷しながらも、21本塁打をマークしている。今井は不安定な投球が目立つが、駒不足の先発陣の中では貴重な存在。来季こそは2ケタ勝利に期待したいところだ。

●2017年
東克樹(DeNA)

 2017年は7球団が清宮幸太郎を指名、中村奨成田嶋大樹も2球団が競合したため、単独1位指名は東ただ一人となった。即戦力として期待された東は、1年目から先発ローテーション入りして11勝をマーク。新人王にも選出された。しかし、1年目オフに左ヒジの炎症を起こし、その影響で2019年は4勝に終わってしまう。2020年は左ヒジの靱帯損傷でトミー・ジョン手術を受け長期離脱。今年7月に688日ぶりに二軍で実戦復帰を果たし、9月28日のヤクルト戦(神宮)で一軍登板。先発し、4回2/3を4失点で負け投手になったが、復活勝利をつかむ日も近いか。

●2018年
松本航(西武)

 2018年は根尾昂藤原恭大小園海斗の3人に指名が集中。そのため、前年と同様に単独1位指名は西武の松本だけになった。松本は1年目から7勝4敗と勝ち越し、2018年ドラフト入団の新人ではトップの成績を残した。しかし、2020年は不安定な投球が目立ち、6勝7敗と負け越し。今季も前半戦だけで7勝を挙げるも、後半戦は投球が安定しない試合が続き、8勝8敗と勝ち星は伸びていない。

単独1位指名で広島に入団した森下は1年目の20年、新人王に輝いている


●2019年
森下暢仁(広島)
森敬斗(DeNA)

 2019年は佐々木朗希が4球団、奥川恭伸石川昂弥がともに3球団が競合する中、広島とDeNAが一本釣りに成功した。広島が獲得した森下は、新人とは思えない冷静さで勝ち星を積み重ね、最終的に18試合に投げて10勝3敗。リーグ2位となる防御率1.91を記録して新人王に選ばれた。しかし、今季は2年目のジンクスなのか、思うような投球ができずに苦しんでいる。森敬斗は高卒選手ということもあり、シーズンを通して二軍でプレーすることになったが、終盤の10月27日に一軍昇格。初打席初安打を記録するなど、8試合で3安打をマークした。今季は33試合と出番は増えたが、さらなる成長が求められる。

●2020年
伊藤大海(日本ハム)
栗林良吏(広島)
入江大生(DeNA)
高橋宏斗(中日)

 2020年の単独1位指名選手で今季活躍中なのが栗林と伊藤だ。栗林は新人ながら抑えに指名され、開幕2戦目で初セーブを記録。以降、6月13日まで22試合連続で無失点投球を続け、新人のNPB記録を更新した。以降も下位に沈むチームの中で奮闘し、ここまでにリーグ2位の30セーブをマーク。セーブ王は厳しそうだが、新人王に選ばれる可能性は高いだろう。日本ハムの伊藤は、序盤は勝ち星に恵まれなかったが、要所要所で見事なピッチングを披露。ここまでにチーム2位の9勝を挙げている。

 こうして振り返ると、単独指名に成功した選手は、後にチームの柱へと成長した選手や、1年目から好結果を残した選手など「活躍例」は多い。果たして今年のドラフトではどんな選手が単独指名され、今後どのような成績を残すのか、ぜひ注目したい。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
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