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新庄剛志流「考える野球」が始まった!/川口和久WEBコラム

 

野村克也監督のDNA


日本ハム・新庄監督


 あとで聞いたら自主隔離だったらしいが、オープン戦初戦(2月26日)のベイスターズ戦で、日本ハムの新庄剛志監督がベンチに入らなかった。

 先発の上沢直之に指揮を執らせたいというのは言っていたけど、自分もベンチにいるのかと思っていたから驚いた。投手リレーは調整もあるから大体は決めているんだろうが、打順や作戦は本当に任せたみたいだね。

 キャンプが始まってから武井壮さんや室伏広治さんといった球界以外、あるいは他チームOBの臨時コーチを招いたり、いろいろなサプライズを続けているBIGBOSSだが、選手時代のパフォーマンス同様、基本の部分は外していない。野球に対してマジメに向き合っているな、とも思う。

 要は「常識を疑え」だよね。本当に球界のトレーニング法や走塁術が絶対に正しいのか? あとは他チームのOBだからって技術を教えてもらっちゃいけないのかって。

 前者のほうが奇抜に感じるかもしれないけど、実は後者のほうが繊細だ。たぶん、自分のチームのコーチとは微妙でも矛盾することもある。OBなら仕方ないと思うかもしれないけど、他チームとなれば選手だけじゃなく、コーチも「いいものはいい」という柔軟さが要求されるだろう。

 今回、選手に指揮を執らせたのは、彼の恩師・野村克也さん風に言えば「考える野球」だ。プロ野球選手は個人事業主だし、自分のパフォーマンスは反省するけど、チームの勝ち負けはバッテリー以外、そこまで気にしない。優勝を争っていたらまた違うけど、そうじゃなければ個人に走ることもある。

 ミーティングで細かく説明するのではなく、自然と自分たちで勝つためにはどうしたらいいか考えさせようということなんだろう。野村さんは、勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなしと言っていたけど、1試合だけとはいえ、選手もいろいろ学ぶことはあったんじゃないかな。

 新庄監督のチャレンジは100やって100の成功はないだろうけど、まだキャンプ、オープン戦だし、もっと言えば、いきなり1年目から優勝を争える戦力でもない。

 野村さんは南海の兼任監督時代、クイックや大胆な守備シフトなど、当時としては奇抜なことを導入したと聞いている。もう1つ言えば、ヤクルト監督時代には、就任時、1年目で種を蒔き、2年目に水をやり、3年目に花を咲かせる、と言って、実際リーグ優勝をした。

 一緒にしたら天国の野村さんに怒られそうだけど、新庄監督の中に野村さんのDNAが継承されているのは間違いない。

写真=BBM
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