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背番号物語

【背番号物語】中日「#3」筆頭は3ポジションで活躍した立浪和義。「もっとも合っていたのは三番打者でした」

 

立浪の22年間はプロ野球でも最長


中日の背番号「3」と言えば現監督の立浪だった


 この2022年から監督として中日を率いる立浪和義。指導者としては「73」を背負うことになったが、長い中日ファンにとって立浪といえば「3」を思い浮かべるのではないか。PL学園高からドラフト1位で1988年に入団した立浪は、2009年オフに現役を引退するまでの22年間、一貫して中日の「3」を背負い続けた。その期間は中日の「3」だけでなく、プロ野球の「3」でも最長だ。

 さらに、なにかと「3」という数字に縁がある立浪は、攻守走の“三”拍子がそろい、いずれもハイレベル。全盛期には打順でも背番号と同じ“三”番打者として活躍して、守っても遊撃、二塁、三塁と背番号と同じ“3”ポジションでゴールデン・グラブ賞に選ばれている。15年から現在に至るまでは現役の高橋周平が背負い、三塁で19年から2年連続ゴールデン・グラブ賞に選ばれているが、背番号の世界で立浪のインパクトを超えるのは簡単なことではないだろう。

 1年目からプロ野球で22年ぶりとなる高卒ルーキーの開幕スタメンを果たし、そのまま遊撃のレギュラーとなってリーグ優勝に貢献、新人王に輝いた立浪だったが、2年目は故障に苦しんだこともあり、中日における不動の存在となったのも、やはり背番号と同じ3年目の90年。このときの打順は一番打者だったが、これでリーグ最多の591打席に立って、初の2ケタ11本塁打を放つ。翌91年には初の全試合出場。その翌92年には二塁にコンバートされ、打順もクリーンアップが増えていく。

現在は11年目の高橋が背番号「3」を着ける


 95年にはルーキーイヤーに続く2度目のゴールデン・グラブ賞に。97年にはサイクル安打を達成。98年には左翼に回ったが、翌99年には二塁に戻り、21世紀に入ると三塁手としての出場を増やして、通算2000安打に到達した2003年にはゴールデン・グラブ賞に。翌04年には全試合で三番に座って、リーグ優勝の原動力となっている。06年からは控えに回ったものの、その存在感と勝負強さは変わらず。打撃タイトルとは無縁だったが、引退までに積み上げた通算487二塁打はプロ野球の頂点に輝いている。

 とはいえ、プロ野球の「3」においても存在感を放つ立浪も、その引退により1年の欠番を挟んでPL学園高の後輩でもある吉川大幾が後継者となり、3年で現役の高橋が継承した中日の「3」においては、“突然変異”といえるかもしれない。

盗塁と犠打の系譜


 中日がプロ野球に参加した1936年は松浦一義桜井正三と2人の投手が背負った「3」。戦前から戦後にかけては外野手の石田政良が「3」だったが、32盗塁で盗塁王に輝いた40年を最後にプロ野球から離れ、46年に復帰するも1年で現役を引退している。初めて5年を超えたのは、1リーグ時代の1948年から中日が初の日本一に輝いた54年まで背負った国枝利通から。国枝は二塁手で、エンドランとバントでチームを支えた名バイプレーヤーだった。国枝の引退から2年間は内野手の内海武彦が着けたが、57年からは外野手の中利夫が背負ったことで、中日の「3」に一般的なイメージ同様、チームの主軸という印象が生まれる。やはり攻守走の“三”拍子がそろい、プロ“3”年目から「3」となって、リードオフマンとして60年に50盗塁で盗塁王、67年には巨人王貞治らと争って首位打者に輝いた中だが、華やかなプレーというよりは職人技で魅せるタイプだった。

中日で16年間、背番号「3」を背負った中


 ちなみに、たびたび登録名を変更した中は、64年には背番号の数字が入った「中三夫」を名乗っている。72年オフに現役を引退するまで「3」だった中は、16年という期間でも立浪が更新するまでトップで、78年から監督となり、このときは古くからの監督ナンバーでもある「30」だったが、立浪は監督でも中の後継者となる。

「3」は1年の欠番を挟んで新人で外野手の藤波行雄が継承したが、トレードを拒否して残留したことのペナルティーとして剥奪されて「40」に。そこから助っ人の系譜になりかけたものの、83年には外野手の平野謙が後継者に。平野も犠打で一時代を築いた名バイプレーヤーだったが、86年には48盗塁で盗塁王に輝いている。平野が87年オフに西武へ移籍したことで「3」となったのが立浪だった。

【中日】主な背番号3の選手
国枝利通(1948〜54)
中利夫(1957〜72)
平野謙(1983〜87)
立浪和義(1988〜2009)
高橋周平(2015〜)

文=犬企画マンホール 写真=BBM
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