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ベースボールゼミナール

小学生のころからバッティンググローブをしたほうがいい?「今はそれで試合に出るのが当たり前」/元ソフトバンク・柴原洋に聞く

 

読者からの質問にプロフェッショナルが答える「ベースボールゼミナール」。今回は打撃編。回答者は現役時代に巧打の選手として活躍した、元ソフトバンク柴原洋氏だ。

Q.小学生5年生の子どもを持つ親です。練習もしくは試合でバッティンググローブはつけたほうが良いのでしょうか。これくらいの年代の子は、感覚という部分で、素手で振ったほうがいいと考えていたのですが、最近はみな当たり前のようにグローブをはめています。(静岡県・40歳)


今はほとんどの選手がバッティンググローブをはめている[写真は巨人岡本和真]


A.逆に素手でバットを持つと感覚が狂うかもしれません

 プロ野球選手はほぼバッティンググローブをはめていますし、高校野球を見ても素手で打っている選手のほうがむしろ稀なくらい、普及しています。小学生はそんなプロやお兄さんの高校生たちをテレビなどで見て、恰好から入っているようにも思いますが、それはそれでいいのではないでしょうか。カテゴリーが上がり、いずれはバッティンググローブをつけることになるのならば、早くからその感覚に慣れておく、とポジティブに捉えることができると思います。

 最大の利点はバッティンググローブをつけることによって、グリップ感が増すこと(つまり、滑らない)、バットと手がフィットすることにあります。特に夏場など汗がすごい季節などは滑りやすく、それこそ私が小学生のころなどはバッティンググローブは普及していませんでしたから、砂を手につけたりして滑らないように工夫をしていました。

 革手とも呼ばれるバッティンググローブは、年々改良が進んでいて、より滑らないように革自体に加工が施されていたり、ゴムがちょっとついていたり(※高校野球など一部の連盟、大会では素材などに規定があると思います)、どんどん良くなってきていますよね。高校生に話を聞いても、バッティンググローブをすることで「握れている」ことを実感しているようです。まだスイングがしっかりと固まっていない小学生の年代では、滑る不安がなくなるだけでも意味があると思います。しっかりとスイングすることに集中することができるわけですから。

イラスト=横山英史


 質問の方の考えもよく理解できます。私もバット、打球の感触を肌、指先で感じたい部分も持っています。そもそも高校でもバッティンググローブは今のように認められていませんでした。素手で育ってきたことも大きく、プロ入り後、バッティンググローブをはめて試合に出ていたものの、原点回帰という意味合いもあり、素振りやティー打撃などは素手でやることもありました。

 ただ、今の子どもたちはバッティンググローブをつけて試合に出るのが当たり前。素手で打つことが稀なのであれば、素手で練習すると、逆に感覚が狂ってしまうのかもしれません。であれば、まずバッティンググローブをはめて練習することをメーンにし、「素手で打つ調整法もあるよ」という程度に抑えて、今の時代はいいのではないかと思います。

●柴原洋(しばはら・ひろし)
1974年5月23日生まれ。福岡県出身。北九州高から九州共立大を経て97年ドラフト3位でダイエー(現ソフトバンク)入団。11年現役引退。現役生活15年の通算成績は1452試合出場、打率.282、54本塁打、463打点、85盗塁。

『週刊ベースボール』2022年2月14&21日号(2月2日発売)より

写真=BBM
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