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東大が明大に引き分け発進。プロ志望届を提出した井澤駿介、阿久津怜生が躍動

 

熟考の末にプロ志望を決断


プロ志望届を提出した東大のエース・井澤[右]と俊足外野手・阿久津[左]。2人が持ち味を発揮し、明大1回戦[9月10日]を引き分けた[3対3]


 東京六大学リーグ戦が9月10日に神宮球場で開幕した。オープニングゲームは春の優勝校・明大と1998年春から続く最下位脱出を目指す東大が対戦。3対3で9回を終え、連盟規定により引き分けた(この日はプロ併用日)。

 プロ志望届を提出した東大の2選手が、神宮で躍動した。エース右腕・井澤駿介(4年・札幌南高)は6回1/3を3失点と粘投。二番・右翼手で先発した阿久津怜生(4年・宇都宮高)は、3回裏二死二塁から右越え二塁打を放ち、貴重な2点目のタイムリーとなった。

 最速144キロの井澤は1年間の浪人を経て東大に入学。リーグ戦デビューした2年春から主戦を任され、3年秋の立大2回戦では、救援でリーグ戦初勝利を挙げた。進路については、大学卒業後も野球を続けたい思いを抱いていたが「能力的に足りない」と、あと一歩を踏み切れずにいたという。だが、今春のリーグ戦後に「あきらめられない」と熟考の末に、プロ志望を決断。迷うよりも、挑戦したい気持ちのほうが上回った。この日は、冬場から磨いてきたストレートとカットボールのコンビネーションが冴え、明大打線を7回途中7安打3失点に抑えて、手応えを得た。

 9月8日にプロ志望届を提出して以降、初のリーグ戦登板について問われると、井澤は「特別な意識をするよりも、チームとして『最下位脱出』。そこに向けて全力で投げるだけ」と淡々と語った。

当初はアメフト部でプレー


 井澤から1日後、9月9日にプロ志望届を提出したのが阿久津だ。

 小学校時代は野球部も右ヒジを故障し、中学では陸上部に在籍。3年時には全中の400メートルで優勝(49秒22)を飾ったトップアスリートだ。右ヒジが癒えた宇都宮高では野球部でプレー。現役で合格した東大では野球部に入部する予定だったが、体力不足を理由に断念、アメリカンフットボール部に入部した。

 俊足を生かしたRBで体を鍛えると、フィジカル面での自信を得て、2年生8月に野球部へ転部。センス抜群で、3年春から外野手のレギュラーとして出場している。同春はリーグ最多タイ6盗塁で、いきなり持ち味を発揮し、4年春にはリーグ戦初本塁打を放った。

 阿久津は当初、野球は大学まで、と決めていた。就職活動も展開していたが、野球への思いが再燃する。「身近な井澤さんが(プロ志望届を)出していて、やれるところまで、自分の力を試してみたいと思った」。プロ志望届提出の経緯を語った。

「一番はチームの勝利。自分が結果を出せば、勝ちにつながる。1打席1打席を大事にし、出塁したら走りたいと思います」

高いレベルを目指そうと思えば、自然とモチベーションは高まる。プロ志望の2人がチーム力をグッと引き上げているのは確かだ。この秋の東大、台風の目になるかもしれない。

文=岡本朋祐 写真=菅原淳
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