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川口和久WEBコラム

WBC1次ラウンドの鍵を握るのは第2先発。見極めはしなきゃいけない/川口和久WEBコラム

 

難しい第2先発のメンタル



 3月3日、侍ジャパンと中日の戦いで、まずは第1ラウンドの戦い方のテーマがはっきり見えた。

 先発投手の交代後、いわゆる第2先発だ。

 準決勝以降はまた違ってくるが、第1ラウンドは球数が65球と決まっているので、いくら大谷翔平ダルビッシュ有と先発が好投したとしても、4、5回あたりから投手交代をしなきゃいけない。現状、抑え候補は大勢栗林良吏の2人のようだ。彼らが8、9回を落ち着かせるにしても、そこまで3、4イニングある。もちろん1イニングずつの継投でもいいと思うが、栗山英樹監督は代表メンバーに先発タイプを多数入れ、第2先発でつなぐプランをとっている。

 これは今回に限らないが、国際大会の投手構成は先発が多くなりがちだ。力を考えれば当然と言われそうだが、いつも、もう少しリリーフを厚くしたほうがいいんじゃないかと感じる。

 先発は試合の組み立てを考え、イニングをこなしながら調子を上げていくタイプが多い。体に染みついたものもある。登板時間がはっきりしない中、しかも試合が佳境となっていく試合中盤に、いきなりマックスで入るのは簡単ではない。第2先発の出番は試合も中盤以降なので1点の失点が重くなる。強いメンタルも必要だし、難しいポジションだと思う。

 あくまで強化試合の結果で、細かいことを言うなと言われそうだが、例えば3日の試合では、第2先発の戸郷翔征は最初からおかしかった。調整不足か、試合にうまく入れなかったのかは分からないが、真っすぐがお辞儀し、変化球が落ちない。逆に今永昇太も第2先発要員だが、彼は使えるかなと思った。先発登板だったから、比べたら戸郷がかわいそうだが、初回からスイッチを入れ、全開のピッチングをしていた。

 まずは第2先発要員の調整法とメンタルかな。最初からマックスで入ることを徹底させ、次の回など考えず、最初から飛ばさせる。そして、ダメならスパッと代える。もう一つは見極め。きのうの松井裕樹はWBC球が合わないのか、かなり球が散らかっていた。この時期だから、まだ修正は間に合うと思うが、本番に入ったらそうはいかない。

 野球はちょっとしたことで流れが変わる。1次ラウンドでは日本の力は抜けていると思うが、短期決戦は何があるか分からない。調子の良し悪しを見極め、いい選手だけを使う必要があるだろう。

 きのうはずっと厳しい顔をしていた栗山監督だが、彼は笑顔の似合う男だ。最後の最後、会心の栗山スマイルを見たい。

写真=BBM
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