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ロッテ・藤原恭大に覚醒の予感 他球団「明らかに変わった」と警戒の声が

 

開幕から好調をキープ


4月9日の楽天戦で今季1号を放った藤原


 開幕3連敗後、5連勝と息を吹き返したロッテ。4月11日の西武戦(ベルーナ)は敗れて連勝が止まったが、上々のスタートを切っていると言えるだろう。その中で貢献度が高いのが、プロ5年目の藤原恭大だ。開幕3試合目から3試合連続マルチ安打をマークするなど、打率4割を超えるハイアベレージで、開幕時は九番だった打順が8日の楽天戦(ZOZOマリン)以降は一番に。9日の同戦では2回に岸孝之から中越え適時二塁打を放つと、7回は安楽智大の直球を鋭く振り抜き、今季初アーチとなる右越え2ラン。平沢大河安田尚憲と「ドラフト1位トリオ」で6安打7打点の大活躍だった。

「最強軍団」と形容された大阪桐蔭高で、根尾昂(中日)、柿木蓮(日本ハム)、横川凱(巨人)らと共に中心選手として活躍。ドラフト1位で3球団が競合してロッテに入団した。強肩、俊足でパワーもある。高卒1年目の2019年。開幕戦・楽天戦(ZOZOマリン)に「一番・中堅」でプロ初出場を飾る華々しいスタートだったが、なかなか一軍に定着できなかった。昨年もファーム暮らしが長く、49試合出場で打率.209、1本塁打、5打点、9盗塁。レギュラーをつかむために必要な要素は、確実性の向上だった。好調の時期が持続できず、淡白な打席が目立つ。リードオフマンなのか、パワーヒッターなのか、目指す打撃の方向性が見えなかった。

大崩れしない打撃に


 だが、今季は違う。コンパクトなスイングで塁に出ることに特化。藤原が目指す打撃スタイルを象徴した打席がある。5日の日本ハム戦(ZOZOマリン)。1点ビハインドの7回一死一塁で、日本ハムのコナー・メネズに追い込まれてから9球連続ファウルで粘る。スタンドから拍手が起きる。必死にバットに当て続けた執念が実った。12球目を投手強襲安打。好機を広げると、二死満塁から玉井大翔の暴投の間に二塁走者で本塁生還の好走塁で、泥臭く決勝点をもぎとった。

 他球団のスコアラーは「昨年までの藤原だったら空振り三振だったでしょう。パワーがある選手ですが、ミートに重点を置くことで逆方向にもヒットゾーンが広がっている。明らかに変わりましたね。ああいう打撃をされるのが、バッテリーにとって一番厄介です。甘く入れば長打がありますし、今の打ち方だったら大崩れしないと思います」と警戒を強める。

さらなる進化に期待


 中日の立浪和義監督は、野球評論家だった21年に藤原の魅力と課題を、週刊ベースボールのコラムで明確に指摘していた。

「プロ3年目、21歳の選手ですが、身体能力が高く、入団当時からバットをしっかり振れる選手だなと思って見ていました。インコースも甘くなればライト方向に強い打球を弾き返し、ホームランにするパワーもあります。ただ、振り過ぎるクセと、あとはトップに入ってから手が急ぐと言えばいいのでしょうか、1、2〜3とゆったりしてではなく、1、2、3となってしまい、どうしても安定感に欠く傾向がありました。好調時はここがゆったりとし、自分のポイントまでしっかり呼び込んでスイングができるようになっていました。もちろん、バッターはどうしても波があるものですし、彼は若いのでなおさら、この状態をずっと継続するのは簡単ではないと思います。ただ、いいときのタイミングの取り方を忘れず、オフにまた、しっかり繰り返し練習することで、さらにもう一つ上のレベルのバッターになっていきます。今後も注目していきたい選手ですね」

 高卒5年目。同学年で大卒1年目の選手たちが入団してきた。遊撃で存在感を発揮しているドラフト2位の友杉篤輝も同級生だ。プロで長くやってきた意地もあるだろう。藤原の覚醒に期待したい。

写真=BBM
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