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首都大学リポート

日体大が開幕8連勝で2季連続26度目V 箱山優が昨秋に続く胴上げ投手に【首都大学リポート】

 

日ハム・矢澤宏太の後継者


2季連続の胴上げ投手となった日体大・箱山優


【5月1日】一部リーグ戦
日体大4−3桜美林大
(日体大2勝)

 首都大学リーグ第5週2日目。無傷の7連勝で優勝に王手をかけた日体大は、2位で追走する桜美林大(2回戦)と対戦。試合は終盤までもつれる展開となったが4対3で日体大が接戦を制し、2季連続26回目のリーグ制覇を果たした。

 最後の打者を打ち取った瞬間、マウンド付近には歓喜の輪ができ、グラウンドにはお祝いの紙テープが投げ込まれた。そして、スタンドでは日体大伝統の応援スタイル「エッサッサ」が部員により披露され、優勝に花を添えた。

 昨秋から2季連続で胴上げ投手となったのが箱山優(3年・日体大柏高)だ。1点差に詰め寄られた7回途中から登板。緊迫した場面だったが、「点差は気にせず、自分のピッチングを心掛けようとマウンドに上がりました。昨年よりも経験を積んだ分、心に余裕がありました」と冷静だった。

 9回表は内野安打を許したことをきっかけに一死三塁のピンチを招いたが、スクイズを仕掛けてきた相手打者に対し、ウエストボールを投げてファウルに。その後は味方の好守もあって内野ゴロ2つに仕留めてゲームセット。

 矢澤宏太日本ハム)という柱が抜け、投手陣の軸として期待されていた箱山。しかし、先発で起用された春先のオープン戦では結果は今一つだった。そこで配置換えを行い、クローザーとして今季を迎えた。「先発のほうがチームも楽になると思いますし、やりたいとは思っているのですが、大学ではずっとリリーフをやってきたので先発だとヌルっと試合に入ってしまうんです。慣れているリリーフなら最初からビシッといけるんですけれど」。

 また、春先はフォームに迷いがあったと話す。「昨年は二段モーションで投げていたのですが、春のオープン戦は一段で投げていました。でも、辻孟彦コーチに『リズム的にも二段のほうが良い』とアドバイスをいただき、開幕直前に元の二段モーションへ戻しました」。

古城監督も認める存在感


 こうしてやや不安を残しつつ迎えた春季リーグだったが、蓋を開けてみれば開幕戦から好投を続けた。全8試合中7試合に登板し、17回3分の2を投げて自責点は1(防御率0.51)。首都大学リーグではセーブやホールドは公式記録として扱われないが、1勝、5セーブ、1ホールドと素晴らしい成績を収めている。古城隆利監督も「試合の後半に箱山がいるのは大きい」と、その存在感を認める。

 明治学院大との2回戦では自己最速タイとなる148kmを記録。ずっと取り組んできたウエートトレーニングの成果が表れた形だ。ちなみに積極的に練習メニューに取り入れるようになったきっかけは、昨年12月に召集された侍ジャパン大学代表の強化合宿だ。参加した投手の多くがウエートトレーニングに取り組んでいた。

 そこで、冬のオフシーズンの期間だけでなく、リーグ戦期間中も1週間のルーティンに入れるようにした。「土日は試合で投げて、月曜日はオフ。火曜日は下半身を高重量で鍛えて、水曜部は上半身を高重量で。木曜は下半身を軽くやって、金曜は上半身を軽く。そして、土日はまた試合で投げるという感じで、それを繰り返しているのですが、特に上半身を鍛えるようになってからボールのキレが戻ってきました」と、その効果を実感している。

 当然、ブルペンにも入るが、ここにも工夫がある。「木曜日に30球ほど投げています。球数が少ないのは疲労が溜まらないようにということと、少なめにして思い切り投げたほうが感覚も良いんです」。

 大学では自身2度目となるリーグ優勝も、「昨秋のほうがうれしい気持ちは強かったです。今年は3年生になり立場も変わりましたし、日本一を目指しているので気持ちを切り替えています」と、おごりはない。

 また、精神面での成長は、こんなところにも。

 昨秋は防御率0.00と圧倒的な数字を残した一方で、規定投球回数に2回3分の2足りず、最優秀防御率のタイトルを獲得することができなかった。当時は本人も「正直に言えば、もう少し投げたかった」と胸中を吐露していたが、今季試合後に話した「規定投球回数は投げたいですが、それよりも大事な場面で抑えられればいい。チームに貢献できれば、それで構いません」という言葉からは、フォアザチームの精神が強くなっていることが感じられた。

 2017年秋以来となる開幕8連勝で7年ぶり11回目となる全日本大学選手権(6月5日開幕)出場を決めた日体大。昨秋は関東地区大会で敗れて明治神宮大会にはたどり着けなかったが、この春は全国の舞台でスカイブルーのユニフォームに身を包んだ守護神の活躍が見られそうだ。

文=大平明 写真=BBM
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