週刊ベースボールONLINE

首都大学リポート

東海大が武蔵大との直接対決制し最下位回避 植本拓哉が終盤までもつれた熱戦に終止符【首都大学リポート】  

 

値千金のサヨナラ打


武蔵大3回戦でサヨナラ打を放った植本拓哉


【5月21日】一部リーグ戦
東海大4-3武蔵大
(東海大2勝1敗)

 首都大学リーグ第8週2日目。ともに3勝9敗、勝ち点ゼロで並ぶ東海大と武蔵大が直接対決。勝てば5位となり、1部残留が決定。負ければ最下位となり、2部で優勝した城西大との入れ替え戦に回る大事な一戦となった。

 試合では、両チームの意地がぶつかり合った。終盤までもつれた熱戦に終止符を打ったのは東海大の植本拓哉(3年・明石商高)だ。6回表に2点のリードを追いつかれ、7回裏に1点を勝ち越したものの、9回表に再び追いつかれるしびれる展開に。

 しかし、「今日は絶対に負けられない試合でしたし、失点しても4年生が盛り上げてくれたので気持ちを落とさずにプレーできました」と常に前を見つめ続けた。

 そして、同点の9回裏二死一、二塁の場面で打席に立つと、スリーボールからの4球目を打ち返し、中堅手の頭上を越すサヨナラ打。「3ボールはチャンスのカウントでチームとして打っていいことになっています。見逃した後にフォークを投げられてしんどくなる前に打っていこうと考えていました」。

 相手投手の松崎公亮(3年・聖徳学園高)はこの試合で150キロを記録していたが、「ストレートが速く、インコースを攻めてきていたので振り遅れないようにスイングしました」と、狙っていたストレートを見事に弾き返した。

 井尻陽久監督も「最後は植本がスリーボールからよく打った」と称えた一打で東海大は4対3で武蔵大を下し、入れ替え戦を回避。植本は「とてもうれしいですし、安心しました」と笑顔を見せた。

 また、この試合では初回に一死満塁から先制の中犠飛。5回裏には二死一、二塁から追加点となるタイムリーを放つなど3打点の活躍で、「満塁の場面では犠牲フライを打つつもりで高めのボールを狙っていました。(5回裏の)タイムリーは『なんとしても1点を取りたい』と思い、スライダーに食らいつきました」と振り返ったが、この活躍の裏には指揮官のアドバイスがあったという。

「これまでは下からバットが出て詰まることが多かったんですが、上からコンパクトに振るようにしました。このおかげで、ポイントを前にしてボールを捉えられるようになりました」

楽しむことを意識


 今春は苦しいシーズンとなった東海大。この春から先発出場が増えた植本もなかなか調子が上がらなかったが、「勝ちにこだわりながらも楽しむことを意識し、結果は後からついてくると思ってプレーしていました」という。

 すると、第5週の明治学院大1回戦ではライトポール直撃の貴重な先制弾を放ち、チームに白星をもたらした。「打線がなかなかつながらず、点も取れていなかったので塁に出てチャンスをつくることを考えていましたが、胸の高さに来たインコースのストレートに反応して打つことができました」。

 シーズン前のオープン戦でも2本塁打を放っているが、「自分はシングルヒットでいいので低いライナーを打つように心掛けていて、その先に長打があると思っています」と、あくまでも中距離ヒッターの意識で打席に立っているという。

 ちなみに植本の兄である亮太さんもJR西日本でプレーする野球選手。今年1月には兵庫の西宮神社で行われた“福男選び”で“一番福”になったことでも話題になったが、「当日の朝にテレビをつけたら兄がインタビューを受けていて、まさか1位になるとは思っていませんでした」と驚きを隠せない様子。そんな“一番福”の弟が今季最終戦で東海大にも大きな“福”をもたらした。

 最後に、今秋に向けて「練習内容を見直し、考えて練習していきたい。打率を上げることを目標にして3割5分は打ちたいですし、塁に出てチームに貢献したいです」と抱負を語った植本。苦戦した今シーズンの悔しさを糧に、リベンジを狙う東海大の主力選手として活躍を期す。

文=大平明 写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング