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【大学野球】明大“投打の主役”宗山塁、浅利太門 こだわる数字は打点、防御率

 

「勝負どころで力を発揮したい」


明大の主将・宗山[左]と154キロ右腕・浅利[右]は2024年シーズンの抱負を語った[写真=BBM]


 2023年の漢字一文字。

 明大の新主将に就任した宗山塁(4年・広陵高)は「打」とした。

「自分もなかなか思うような成績が残せなかったですし、チームとしても実力差を感じた1年でした。負けたチームと比べて、バッティングの力が劣っている。24年のテーマとしているので、何とかしたい」

 明大は昨春に85年ぶりのリーグ3連覇達成も、全日本大学選手権では青学大との決勝で敗退。85年ぶりの4連覇をかけた秋は2位に終わった。宗山は今春、レギュラーに定着した1年秋から4季連続での打率3割を逃した。秋は打率.340も、好不調の波が激しかった。

 なぜ、そこまで、打撃を追い求めるのか。

 宗山は3年秋までに東京六大学リーグ通算94安打を放っている。明大の先輩・高山俊(オイシックス新潟BC)が持つ、リーグ記録131安打の更新に注目が集まる。

「これまでどおり、先を見るよりは、1打席の積み重ねだと思う。最終的に良い結果になっていればいいな、という感じです」

 主将としてあくまでも、チームの勝利が最優先。個人記録に興味はない。こだわる数字は打点だ。理想像は旧チームの主将・上田希由翔(ロッテ)。歴代4位の74打点をマークし、今秋まで務めた不動の四番打者である。

「来春は個人的な部分だと、打撃タイトルの3冠を取りたいと思っています。ただ、一番は勝負どころで力を発揮したい。希由翔さんはあれだけ、打点を稼ぎましたし、勝負強い打撃をしていました。すごく頼りになりました。今度は自分が、その役目になれたらなと思っています」

「点を取られなければ負けない」


 宗山は堅守の遊撃手としても評価が高く、ドラフト1位候補で、1巡目入札競合は確実と言われている。明大打線の顔が宗山ならば、24年の新エースとして期待されているのは154キロ右腕・浅利太門(3年・興國高)だ。

 旧チームから投手陣を支えてきた村田賢一(ソフトバンク)、石原勇輝(ヤクルト)、蒔田稔(JFE東日本)の3本柱が卒業。「3人の穴を埋めていきたい」。浅利はこの1年、救援として貴重な経験を積んだ。追い込んでからのカットボールには鋭い落差があり、来春は先発の軸を目指している。

 明大のエース番号は「11」。2023年は4年生3人の競争により、村田がその座をつかんだ。24年は横一線の状況も、田中監督は4年生になる浅利、左腕・藤江星河(3年・大阪桐蔭高)を第1候補に挙げる。「もちろん、下級生にもチャンスはありますが、下の学年が着けたら『このチームはどうかな?』ということになる」と、最上級生2人の奮起を促している。

 今秋は「29」を着けた浅利は、背番号に固執するタイプではない。「何よりもリーグ戦で抑えることが大事。リーグ戦前だけが良くても仕方ないので」。ただ、チームのことを考え「自分が『狙っていくぞ!』という姿勢を見せることが、投手陣全体としてプラスになる」と自覚十分。こだわる数字は、防御率である。

「高校の監督(慶大OB・喜多隆志=元ロッテ)が六大学のシーズン最高打率(.535)を残しているので、自分も最高成績の0.00(過去6人)を目指す。勝ち星は自分で左右できないので、点を取られなければ負けない。防御率に重きを置いていきたいと思います」

 12月には宗山とともに、大学日本代表候補強化合宿(愛媛・松山)に参加。紅白戦では2回2安打無失点(2奪三振)と持ち味を十分に発揮し、代表入りへアピールした。

「これまでそういった機会がなかったので、刺激になりました。過信せず、慢心せず、目の前のことを地道に取り組んできたい」

 希望進路はプロ。決意を語る。

「宗山がドライチと言われているので、そこに負けないように、台頭していけるように、春から活躍するためにも、この冬場を大事に過ごしていきたいと思います」

 明大は今年10月のドラフトまで14年連続指名と、同一チームで史上最長の記録を更新中。24年も明大の活動拠点である内海・島岡ボールパーク、東京六大学の舞台・神宮球場はNPBスカウトの視察でにぎやかになりそうだ。

文=岡本朋祐
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