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第2の木浪聖也に…再ブレーク期待される「阪神の中距離砲」は

 

日本シリーズで山本から決勝打


今季、日本ハムから阪神へ移籍した渡邉。シーズンでは不完全燃焼に終わった


 頂点に立つチームには、期待以上の活躍を見せる救世主がいる。38年ぶりの日本一を飾った阪神は投手陣で言えば、村上頌樹大竹耕太郎だろう。

 昨年までプロ未勝利だった村上は10勝6敗、防御率1.75で新人王、最優秀防御率のタイトルを輝き、MVP受賞と大卒3年目に大ブレーク。現役ドラフトでソフトバンクから移籍1年目の大竹も12勝2敗、防御率2.26とキャリアハイの成績を残した。そして、野手陣の中でよみがえったのが木浪聖也だ。1年目に遊撃で113試合出場したが、その後は出場機会が減少。昨季はプロ入り最少の41試合出場に終わったが、今年は遊撃のレギュラーで活躍していた中野拓夢が二塁にコンバートされたことが野球人生の転機に。遊撃の定位置をつかみ、127試合出場で打率.267、1本塁打、41打点をマーク。得点圏打率.310と勝負強い打撃で不可欠な存在となった。

 多くの選手がバラ色のオフを迎えたが、不完全燃焼に終わった選手もいる。昨オフに日本ハムからトレード移籍し、右の強打者として期待された渡邉諒だ。今季は59試合で打率.177、2本塁打、10打点。本職の二塁は中野がいるため、代打での起用が多かった。不慣れな役回りでなかなか結果が出せず、3度のファーム降格を味わったが、チームに貢献する一打を放っている。佐藤輝明の打撃不振により、「三番・三塁」でスタメン起用された4月13日の巨人戦(東京ドーム)で同点の4回に、左翼ポール際へ移籍1号となる勝ち越し弾。オリックスと対戦した日本シリーズの第1戦(京セラドーム)では指名打者でスタメンに抜擢され、山本由伸の155キロ直球を中前に落とす値千金の先制適時打で試合の主導権を握る。この一打が決勝点となった。

向上心旺盛な中距離砲


 岡田彰布監督が求めていたのは、日本シリーズのこの一打だ。日本ハム在籍時は直球に滅法強いことから「直球破壊王子」と形容された。19年には132試合出場して打率.262、11本塁打、58打点をマーク。向上心旺盛な中距離砲は翌20年2月に週刊ベースボールのインタビューで、以下のように語っていた。

「とにかく打ち損じを少なくして確実性をもっと上げていきたいです。ウチでは遥輝(西川遥輝)さんや近藤(近藤健介)さんなんかは本当にそのあたりの能力は高いですし、カウントが悪くなっても粘ってフォアボールも取れるので。率を残せる選手というのはそういう部分でやっぱり長けている。まだ力的には遠く及ばないですけど、もっと野球がうまくなりたいという情熱を常に持って、目の前の練習や試合に取り組んでいきたいです」

「僕はホームランバッターではないので、そこに関してはヒットの延長線上としか考えていません。もちろん大きいのもあるぞというのは相手バッテリーには見せておきたいですが、それよりもやっぱり打率ですかね。3割は打ちたいですし、その上で打順にもよりますけど、打点も大事にしていきたいです。特に昨季のように五番を打つときなどはチャンスの場面で回ってくることが多いので、そこでしっかりと塁上のランナーを還せるような勝負強いバッターになっていきたい。そのためには常に高い意識を持ってレベルアップしていくしか道はないので。泥臭く、ひたむきに自分の課題とこれからも向き合っていきたいです」

少ないチャンスを生かす


 コロナ禍で120試合制に短縮された翌20年も117試合に出場で打率.283、6本塁打、39打点をマーク。チームの中心選手として期待されたが、試練が立ちはだかる。新庄剛志監督が就任した昨年は守備面でミスが目立ち、若手の台頭もあり21試合出場と激減。オフに阪神にトレード移籍した。

 内野陣はレギュラーが固まっており、出場機会を得るためには代打など少ないチャンスを生かすしかない。だが、木浪が29歳のシーズンに輝きを取り戻したように、結果を出し続ければ道は切り拓ける。渡邉は来季29歳を迎える。身体能力の高さは誰もが認めるだけに、来季は「リーグ連覇の使者」になる活躍を期待したい。

写真=BBM
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