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【社会人野球】5年目に「手応えを感じる」JR東日本・浜岡武明監督 まずはスポニチ大会の王座に

 

チームに2つの大きな変化


浜岡監督はJR東日本を率いて5年目。選手、コーチを含めて在籍21年目と、同野球部には相当な愛着がある[写真=BBM]


 JR東日本は2011年以来2度目の都市対抗制覇を目標としており、活動拠点の柏野球場は活気に満ちていた。2020年から指揮する浜岡武明監督(駒大)は「5年目になりますが、どういう野球をしたいか、選手たちに浸透してきた手応えを感じる」と語った。

 戦績が物語る。浜岡監督の就任以降、20年の都市対抗は2回戦敗退、21年は1回戦敗退から22年は8強、23年は4強と一歩ずつステップアップしてきている。22、23年は東京地区一次予選からスタートし、同地区二次予選を勝ち上がり、昨年まで14年連続での代表権を手にしている。

「周囲からはベスト8、ベスト4と来て、今年は!! という見方をされますが、勝負の世界は甘くないです。手の届くところまでに来たのは事実ですが、手に届かせるには、やらなければいけないことがある。今年の都市対抗二次予選はHondaさんも参入(所在地変更により、南関東から東京へ)されてきますし、例年以上の厳しい戦いになる。ゼロからのスタートで『もう1回、引き締めていこう!』とチーム内では共有しています」

 2024年、2つの大きな変化があった。

 選手、投手コーチを通じて22年在籍し山本浩司ヘッドコーチ(亜大)が23年シーズン限りで勇退し、社業に専念することとなった。19年まで率いた堀井哲也監督(慶大監督)時代からの参謀役が、チームを去ったのだ。

「山本とは選手と選手、コーチと選手、コーチとコーチ、監督とコーチという間柄で21年、関わってきました。入社以来、1回も社業に就いていませんでしたので、彼の今後のキャリアも考えて、野球部長とも議論を重ねてきたんです。私としては、今年もすぐ横にいてくれたほうがありがたいですが、後任を育てるのが第一であり、チーム活性化、私にとってもチャレンジになります。年明け以降、新宿駅に勤務していますが、管理職として業務を頑張っていると聞いています。冗談交じりに『困ったら(仕事が休みの日に)呼ぶから』と言っています(苦笑)」

 新任として、柄澤祥雄コーチが就任した。東農大を経て、JR東日本では2010年まで4年プレー。社業に専念した11年以降は週末、所沢グリーンベースボールクラブに在籍。39歳の昨シーズンまで現役の左腕エースとして活躍した。昨年の全日本クラブ選手権1回戦(対マツゲン箕島硬式野球部)では延長10回サヨナラ負けも、4失点完投している。

「駅勤務の後、本社での労使担当として、社業でも非常に評価が高かったんです。コーチ経験はありませんが、技術的な指導法は肌感覚でつかんでいけばいいと思っています。それよりも選手とのコミュニケーション能力に期待しています。指導者には適任の人材です」

 主将には昨年まで3シーズン務めた渡辺和哉(専大)に代わり、入社3年目の山内慧(専大)が就任した。外野手の右スラッガー。昨年は複数球団から調査書が届いたものの、10月のドラフト会議では指名されなかった。もちろん、プロ入りはあきらめていない。

「勝利への執着心。目の前の試合に挑む集中力が素晴らしい。寡黙で、言葉よりも、プレーでけん引するタイプ。副将にはムードメーカーでもある26歳の西田光汰(大体大浪商高)を据え、サポート体制を整えています」

愛着あるJR東日本野球部のために


 昨年の都市対抗では予選を通じて本来、救援が主戦場だった左腕・西居建陽(中部学院大)が先発としてもフル回転。守護神・西田とともに投手陣を支えた。浜岡監督は「2人(西居、西田)は後ろにおいて、6〜7回までは若い先発投手がつないでほしい」と展望を語る。プロ注目の入社2年目の150キロ右腕・高山陽成(明大)をエース候補に、谷幸之助(国学院大)、古谷龍之介(東北学院大)、左腕・石上祐介(東洋大)の新人投手3人の台頭に期待を込める。充実ピッチャー陣の中でも、特に調子を上げているのは4年目右腕・小谷野楽夕(日大)だ。

「3月にJABAスポニチ大会を控えているんですが、仕上がりが良く、ペースも一番早い。今年はやってやるという、相当な覚悟を感じます。プロもあきらめていないようで『橋戸賞(都市対抗MVP)を受賞しても、まだ足りないよ!!』と発破をかけています」

 打線は「ボリューミーがある」(浜岡監督)と、新入社員の岩本皓多(駒大)、高橋隆慶(中大)に、昨秋の東京六大学の三冠王・栗林泰三(慶大)がレギュラー争いに加わってくれば、厚みが増す。プロ注目の遊撃手・海崎雄太(法大)、山内、渡辺の中心打者がポイントゲッターで、泥臭く1点をもぎ取る。

 チームは2月13日から鹿児島キャンプに入り、23日には薩摩おいどんカップ2024の開幕戦で堀井前監督が指揮する慶大と対戦。同交流戦では5日間で7試合を消化し、帰京後は3月9日に開幕するJABA東京スポニチ大会へ向けた最終調整に入る。照準は都市対抗予選だが、24年シーズンの幕開けとなるスポニチ大会の王座(優勝チームは社会人日本選手権の出場権を獲得)を貪欲に狙う。

「選手には鹿児島から始まる実戦から『結果を出して、信頼を得てやるんだ』という気概を持ってプレーしてほしいです」。選手8年、コーチ8年、監督5年と、通算21年目の浜岡監督は愛着あるJR東日本野球部のために、今シーズンも全身全霊を傾ける。

文=岡本朋祐
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