今年もまた、ドラフト会議が近付いてきた。1965年秋からスタートし、今年で56回目。制度をさまざまに変えながら歴史を紡いできた。ここでは2019年のドラフト会議まで、1年ごとに振り返っていく。 唯一の波乱は日本ハムの須永“強行指名”
早大からは4人がドラフト指名された(左から比嘉、由田、青木、鳥谷)
結局、用意された抽選箱は一度も使われることがなかった。3年ぶり4回目の抽選なし。2003年は無風ドラフトに終わっている。
最注目は
鳥谷敬(早大)で、8球団が獲得を目指したが、大学の大先輩・
岡田彰布監督の存在と、甲子園の土のグラウンドが決め手となり、鳥谷は最終的に
阪神入りを決断。今季から
ロッテでプレーしているが、長きにわたり虎の顔として君臨し続けた。この年、早大は
広島3巡目の
比嘉寿光、
ヤクルト4巡目の
青木宣親、
オリックス8巡目の
由田慎太郎と大量4選手がプロ入り。早大からの4人同時指名は34年ぶりのことだった。
この年、同じ東京六大学リーグの明大からも4選手が指名を受けた。
西武6巡目・
岡本篤志の通算登板数は200を超えたが、そのほかの選手はプロとして短命に終わっている。
自由獲得枠で
日本ハム入りした
糸井嘉男(近大)は当時、投手だった。3年目に打者転向すると一気に才能が開花。13年にトレードでオリックスへ移籍すると、14年には首位打者、16年には盗塁王に輝くなど、華々しいキャリアを重ねた。17年に阪神へ移籍すると昨季、通算1500試合出場を達成した。
3年前、オリックス入団を拒否して社会人の東京ガスへ進んだ
内海哲也は、地力を蓄えて自由獲得枠で
巨人へ。巨人の左腕エースとして活躍し、19年にFA移籍の人的補償で西武へ移籍した。
【2003年ドラフト12球団1位】
横浜 森大輔(三菱ふそう川崎/投手)
オリックス
歌藤達夫(ヤマハ/投手)
広島
白濱裕太(広陵高/捕手)
日本ハム 糸井嘉男(近大/投手)
ヤクルト
川島亮(八戸大/投手)
ロッテ
内竜也(川崎工高/投手)
巨人 内海哲也(東京ガス/投手)
近鉄
香月良太(東芝/投手)
中日 中川裕貴(中京高/内野手)
西武
山崎敏(平成国際大/投手)
阪神 鳥谷敬(早大/内野手)
ダイエー
馬原孝浩(九州共立大/投手)
ダイエーは自由獲得枠で馬原孝浩を獲得。クローザーとして力を発揮した一方で、故障にも悩まされた。13年にオリックスからFA移籍した
寺原隼人の人的補償として放出され、15年まで現役を続けた。4巡目の
明石健志(山梨学院大付高)は今でも貴重な一軍戦力だ。
上位指名で唯一の波乱と言えたのは、日本ハムが「巨人一本」を表明していた大型左腕・
須永英輝(浦和学院高)を2巡目で強行指名。北海道進出に向け、狙っていた地元・尚志学園高の柴田誠也を目前でオリックスにさらわれたあととはいえ、果敢な指名は大成功。時間をかけて説得し、入団にこぎ着けた。
中日は6巡目で
堂上剛裕(愛工大名電)を指名。3年後には弟・直倫が高校生ドラフト1巡目で入団した。西武7巡目の
佐藤隆彦(元フィリーズ)はのちに登録名「G.G.佐藤」としてファンに親しまれた。
写真=BBM