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監督の仕事は全員を同じ方向へ導きチームの士気を上げることです/デーブ大久保コラム

 

楽天の一軍監督時代にチームの士気を上げるためにいろいろな障害を乗り越えようとしましたが……でも監督の理想は今でも変化はないですよ[写真=BBM]


 いきなり最初から先週の話の続きに入りますね。「監督力」がテーマでした。私が現役時代に首脳陣に対し疑問に思っていたことのひとつとして、二軍に降格になるときに、理由を告げられず落とされることだったんです。そういう経験があるので、監督や指導者になったときは、説明をしっかりやろうと思っていました。

 私自身、監督は、選手一人ひとり、チーム全体の士気を上げることが、最大の仕事だと思っていました。やはりレギュラーだけ士気が上がっても、チームは一つにまとまらないですからね。その意味でも、選手全員が納得して動かないと、チームは盛り上がりませんので、そこを大切にしていましたね。

 しかし、実際に一軍の監督になって、私の理想とはかけ離れた難しいところが楽天にはありました(苦笑)。球団がいろいろと介入してくる部分があったので、最初は必死にうまくとりなしながら何とか私の考えも入れようとやっていました。そして選手のことも考えて、精いっぱいの策を講じてきたつもりです。

 そんなあるとき、事件がありました。ある選手の性格を考慮して、ベテランの選手に協力してもらい、そのベテランから伝言という形で、私の考えを伝えてもらいました。読者の皆さんの中で、部下を持っておられる方は分かると思いますが、直接言ったほうがいい人間と、何かクッションを置いて言ったほうがいい人間がいますよね? 野球選手も同じなんですよね。

 しかし、それを聞いたある選手は納得しなかったらしく、記者などがいる前で監督の私に直接「何なんですか、監督なんですから直接僕に言ってきてくださいよ」と言ってきたのです。私もいろいろなことを考慮しての行動だっただけに、我慢できずに、その場で声を荒げてしまいました。

 その選手ですが、今ではある球団のコーチをしています。春のキャンプで声を掛けたら、笑顔であいさつをしてくれました。彼も首脳陣の一員となって、自分だけの気持ちや考えで動けないことが十分に分かったのだと思います。あの笑顔にはそれが見て取れました。そういうふうに、思いどおりにはいかないことが多々ある中で、特に監督は采配しないといけないのです。それを経験したからこそ、西武時代に一軍昇格を拒否した自分が情けないですね(笑)。

 こういうことがあるからこそチームを一つにまとめるということは非常に難しいのです。それでも監督はチームの士気を上げることを最優先にすべきです。アメリカでは監督のことを「マネジャー」というではないですか。やはり「監督力=チームマネジメント力」だと思いますね。

 そんな中で、私が一番の理想だったなと思うチームは、打撃コーチを担当した2008年の西武でした。監督を中心に選手もコーチも一つの方向を見続けた。渡辺(渡辺久信)監督のマネジメントは本当に素晴らしかったです。

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