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巨人・戸郷は負けが込み始めましたが、新人王になるだけの根拠があります/デーブ大久保コラム

 

今季実質1年目ながら先発ローテを守りながら8勝を挙げている戸郷です。もう十分な働きをしていますので新人王に一番近いんじゃないですか!?/写真=BBM


 ロックバンド、元ハウンド・ドッグの大友康平さんに「アマチュアでめちゃくちゃ歌がうまい人はたくさんいる。でもプロとアマの違いは、1日25曲を歌いながらツアーを続けられるかどうかなんだ」と言われたことがあります。毎日全力で25曲歌い続けられる“ノド”があるかどうか、ということです。歌い続けることでノドの体力がつくし、ノドを痛めない使い方も分かってくるらしいのです。

 プロ野球もまったく一緒です。特に先発投手。1年間先発ローテを守り抜くためには体力と「投球術」が必要になります。味方打線がどういう状態なのか見極め、相手打線と比較しながら、どのイニングで投球の強弱を付けるのか……それができるようになると毎年2ケタ勝利以上できる投手になるのです。

 だからこそ高卒1、2年目で先発ローテに入れる投手はそう多くないのです。その中で、高卒2年目の巨人の戸郷(戸郷翔征)は素晴らしいシーズンを送っています。現在8勝5敗(10月23日現在)ですか。9月以降は1勝3敗、高卒2年目ですからそうなります。本来なら大学2年生ですよ。それだけ持っている投球資質が素晴らしいということにもなります。

 一方でやはり1年間先発ローテを守り、安定して勝ち続ける体力はなかったということです。従来の高卒2年目なら、二軍で育成プラン中。プロとしての体力強化をしている時期ですよ。それを取っ払って、一軍の先発ローテに入れるくらいの投球、ボールの質があったのです。だからこそ8勝もしましたし、菅野(菅野智之)の陰に隠れがちですが、戸郷の前半戦の負けない投球があったからこそ、今の巨人が独走しているわけです。投球術やテクニックなしでの8勝ですから素晴らしいですよ。

 一方で、戸郷と新人王争いをしている広島の森下(森下暢仁)は大卒(明大)です。投球術には長けていますし、体力も十分です。でも私的にはトータルで見て、どう考えても戸郷が新人王だと思いますね。なぜかって? まずプロ野球選手は何を目指してシーズンを過ごすのか、ということを考えてほしいです。

 誰しもが「優勝」の2文字を目指しますよね。戸郷はその優勝に向けて大貢献しています。広島は何位ですか? そこを考えるとやはり戸郷が必然的でしょう。また、独走・巨人の勢いを止めるため対戦相手は、手強い先発を戸郷にぶつけます。そこも考慮してほしいですよね。

 さて来季以降、戸郷がずっと先発ローテを守るには、今季どういう過ごし方をしたかが、大きく影響してきます。彼が“3行日記”のようなものを毎日書いていたら、来季以降もエース格として活躍すると思います。今季どういう調整法をしたのかを記録に残すことで、来季カベにぶつかったときに解決法を見い出せますからね。このやり方はスポーツ医学的にもいいことだと証明されています。さて、気は早いですが、来季の戸郷に大注目です。

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