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大島康徳コラム

今週はセ・リーグの順位予想。巨人と阪神のV争い、中日と広島がAクラスを争うと見ます【大島康徳の負くっか魂!!】

 

巨人は井納[写真]の獲得で先発投手の数が増え、より安定感を増すと思います。優勝候補の本命でしょう


前半戦は先発投手が大事に


 いよいよ開幕が近づいてきました。そこで、今週と来週は、セ・パ両リーグの順位予想をしていこうと思います。今週は、セ・リーグから。

 今年は、これは両リーグに言えることですが、外国人選手の来日が遅れているケースが多い、ということと、途中でオリンピック・ブレークが入る、という特殊事情があります。

 外国人選手は、来日ができたとしても調整期間が必要ですから、前半戦はあまり当てにできないでしょう。そうなると前半戦は、各チーム、やや層が薄い中での戦いになります。中継ぎ投手にまで計算が立たないチームが出てきたり、攻撃力も全体に低いですから、力のあるエース級が投げているときは投手戦が増える可能性もあります。その辺を考え合わせると、前半戦は、先発投手が大事になります。5回と言わず、6回、7回と投げられるしっかりした先発投手が数多くいるチームがより有利になってくると思います。

 そして後半戦は、外国人選手が調整十分で加わってきますから、一転、打力の戦いとなると予想します。

 そういったことも踏まえ、僕が優勝と予想するのは巨人です。井納(井納翔一)が入ったのが大きく、これで菅野(菅野智之)、戸郷(戸郷翔征)、サンチェスと右が4人そろい、左で今村(今村信貴)がいますので、あと1人は高橋優貴、畠(畠世周)、平内(平内龍太)、メルセデスもやがて加わってくるでしょうから、その中から選んでいけばいい。デラロサの骨折と、高梨(高梨雄平)が昨年ぐらいやれるか、というところのあるリリーフには少し不安もありますが、抑えは中川(中川皓太)でいけますしね。

 打線は梶谷(梶谷隆幸)が入って、一番と、岡本(岡本和真)の四番が固まりましたから、あとは坂本勇人や丸(丸佳浩)をどう絡ませていくかだけ。日本人選手だけでもオーダーが組めます。スモークなんて当てにしなくてもいいんじゃないですか。

 ただ今年は、巨人の独走ではなく、食いついていくチームがあるんじゃないかと思っています。それは阪神です。何と言ってもルーキーの佐藤輝明ですよね。スイングスピードがすごい。シーズン途中でクリーンアップを打つようになるんじゃないですか。それぐらいのセンスを持っています。彼の存在で、一気に打線に厚みが出て、得点力が上がると思います。

 得点力が上がってくれば、ピッチャーはそこそこいますのでね。先発は、藤浪晋太郎がカギを握りますが、藤浪がまたおかしくなってしまうことさえなければ、先発が西勇輝、青柳(青柳晃洋)、秋山(秋山拓己)、チェンといて、高橋(高橋遥人)の故障は痛いけれども、その復帰を待てるぐらいの形になります。リリーフもいいですからね。

 あとはエラーをどれだけ減らせるか。それができたときには、多分、巨人を追っていけるし、ひょっとしたら……、ということもあるかもしれませんよ。

中日は大崩れはないが……


 三番手は、昨年の順位と同じになってしまいますが、中日です。ここは投手陣がそこそこそろっていますので、大きく崩れる可能性が少ない。ですから、Aクラスに残ることを考えれば、有力だと思います。

 ただ、巨人や阪神に対抗して優勝争いをしていくためには、チームの爆発力のようなものが足りない。とにかく打線がどう点を取っていくかですよね。特にスチールを増やすとか、エンドランを増やしたりするとか、そういうものは見えてきていないので、やはり今までどおりの攻撃でいく感じだと思うんですよ。そうなると、新戦力に+αを求めるしかないんですが、期待の根尾(根尾昂)や石川昂弥がそこまできているかというと……。根尾もよくなりかけていると思いますが、この時期に来て、同じ左打ちの滝野(滝野要)あたりのほうが出番が与えられているところを見ると、そこまで買われていないのかな、という感じもしますね。

 中日とAクラスを争うのは広島でしょう。大瀬良(大瀬良大地)が帰ってきて、森下(森下暢仁)がいて、九里(九里亜蓮)と3人いますから。あと、床田(床田寛樹)、野村(野村祐輔)あたりがそろってくればというところですね。鈴木誠也は、フォームを変えましたが、ダメなら戻せばいいので心配ないでしょう。むしろ、オープン戦で鈴木誠也がいないととたんに点が取れなくなっているところが気になります。投打のバランスが取れてくれば、勝ち方は知っているチームですけれども。リリーフが新人頼みというところもどうでしょう。ある程度リードがあるところならいいですが、僅差(きんさ) が何試合も続くと、新人では苦しいのでは。

 5位はDeNAです。スタートで外国人選手がいないのは痛いですね。ピッチャーも今永(今永昇太)がなかなか復帰してこないし。それでも平良(平良拳太郎)あたりが出てくるだろうし、何とかやりくりできそうなので5位にしましたが、ひょっとしたらヤクルトのほうが上に来るかもしれません。外国人選手がそろう時点まで、どう食いついていけるかですね。期待としては、いつも言っているんですが、新監督は思い切った采配ができるという点です。三浦大輔新監督は、ファームにいた選手も把握しているでしょうし、そういう面がうまく出てくれば、楽しみもあります。

 ヤクルトは、やはり田口(田口麗斗)を獲(と)ったとしても、決定的に先発投手が足りません。小川(小川泰弘)、石川(石川雅規)、高梨(高梨裕稔)と名前は出てきても、投げてみないと分からないピッチャーが多い。打線では、内川(内川聖一)がどれだけ先発で出られるかでしょう。100試合以上先発で行ける感じなら、青木(青木宣親)や村上(村上宗隆)も生きて、得点力がグッと上がってきますので、打ち勝てるゲームが増えてきそうです。

PROFILE
大島康徳/おおしま・やすのり●1950年10月16日生まれ。大分県出身。右投右打。中津工高からドラフト3位で69年中日入団。3年目の71年に一軍初出場の試合で本塁打を放つ。76年にはシーズン代打本塁打7本の日本記録。翌77年に打率.333、27本塁打の活躍で不動のレギュラーとなり、79年にはリーグ最多の159安打、36本塁打、リーグ3位の打率.317の大活躍。83年には36本塁打で本塁打王にも。88年に日本ハムへ移籍、90年には史上最多の2290試合を要して2000安打に到達した。94年限りで現役引退。2000年から02年まで日本ハム監督も務めた。現役通算成績2638試合、2204安打、382本塁打、1234打点、88盗塁、打率.272。

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