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3連覇へ突き進む広島。Vへの原動力となる外国人左腕【伊原春樹の「野球の真髄」】

 

8月、18試合に登板したフランスア。成績も伴っているのが素晴らしい/写真=高塩隆


 早いものでペナントレースも最終盤の9月に突入した。ここからペナントは優勝争い、Aクラス争いと、さらに熱戦が続いていく。とはいえ、セ・リーグの優勝は広島でほぼ決まりだろう。9月2日現在、2位・ヤクルトに14ゲーム差の首位。優勝へのマジックは13となっている。

 今季の広島は戦力差で他球団を圧倒していた。特に巨人に対しては8月28日からの3連戦(東京ドーム)で3タテを食らわすなど、今季の対戦成績は16勝5敗1分けと圧倒。巨人戦のチーム打率は.280、同防御率は3.89。一方、巨人は広島戦ではチーム打率が.246、同防御率は5.41。数字上からも巨人が力負けしていることが分かるだろう。

 昨年も広島は巨人に18勝7敗と大きく勝ち越している。巨人戦の成績が独走の要因の一つになっているのは確かだ。逆に言えば、巨人がもっと頑張っていればもう少しペナントが面白くなっていた可能性が高い。巨人も昨年の成績を受けて、対策は練っているのだろうが、それが結果に結びつかない。もう、これは選手一人ひとりの力の差だ。巨人もすべてを抜本的に見直さなければいけないだろう。

 それにしても、広島は戦力が豊富だ。主力がケガで欠けたとしても、代わりの選手がその穴を埋める。外国人選手も同様だ。今年はセットアッパー・ジャクソンの調子がイマイチだった。6月は11試合に投げ防御率5.06、7月は3試合に投げ防御率6.75と不調をきたすと二軍へ。代わりに出てきたのがフランスアだった。ドミニカ共和国のカープアカデミー出身の左腕。2014年に練習生として来日し、四国ILなどに派遣され、今年3月に育成選手として広島と契約していた。そして、5月20日に支配下昇格。まさにハングリー精神にあふれる投手だ。

 当初は先発として考えられていたが結果を残せず、中継ぎに転向。これがはまった。ジャクソンに代わり、8回を担うようになると快投を続ける。特に8月は30日のヤクルト戦(神宮)で月間18試合登板。セ・リーグ新記録を樹立し、稲尾和久(元西鉄)、益田直也(ロッテ)のプロ野球記録に並んだ。さらに同日現在、8月は防御率0.51。ピンチになっても動じず、自分のボールを投げ込む。球速以上の伸びを感じる直球の勢いもある。もはやチームに欠かせない存在だ。

 一方のパ・リーグはソフトバンクが8月17日のオリックス戦(京セラドーム)から9連勝を果たして2位に浮上。首位・西武をどこまで追い詰めるか注目だ。その原動力となりそうなのが、外国人左腕のミランダ。25日の西武戦(ヤフオクドーム)では強力な打線を相手に8回までノーヒットピッチングを披露した。身長188センチから投げ下ろす直球は150キロを超え、特に落差の大きいチェンジアップのキレ味は絶品だ。さらにカーブ、フォークも交え、西武打線のバットにボールをかすらせなかった。この試合では8三振を奪ったが、すべて空振り。攻略はそう簡単ではない。

 ソフトバンクにはケガのデスパイネに代わって一軍に上がってきたグラシアルもいる。柔らかいバッティングは破壊力も秘めており、このスラッガーも驚異の存在だ。西武追撃に向けては、この2人の外国人が大きなカギとなるだろう。

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