週刊ベースボールONLINE

佐々木朗希選手には真っすぐを磨いてほしい【立浪和義の超野球論】

 

魅力はたっぷり。一軍登板は8月か


伸びしろを感じる


 ロッテ佐々木朗希選手が5月26日にシート打撃ながら160キロを連発しました。映像を見ただけですが、素晴らしかったですね。日本球界で160キロ以上をマークした投手自体も数えるほどしかいませんが、あのときのピッチングは目いっぱい投げたわけではなく、コントロールできていた真っすぐでした。伸びしろを感じましたね。

 あのピッチングを見ると、少しでも早く実戦、それも一軍のゲームで見たい気がしますが、これはもう近くで見ている首脳陣の判断だと思います。実際、その後、「疲労が抜けづらくなっていたから」という判断で開幕二軍スタートが決まりました。まだルーキーですし、最初は、どうしても自分では分からず飛ばしてしまいがちです。故障をしてしまっては元も子もありませんから、よかったのではないかと思います。

 近年の高卒新人の長身快速球投手となると、ダルビッシュ有選手(日本ハム。現カブス)、大谷翔平選手(日本ハム。現エンゼルス)になります。大谷選手は私が引退後の入団なので対戦はありませんが、ダルビッシュ選手とは日本シリーズでの対戦もありました。

 最初は彼が2年目、2006年の日本シリーズです。4打数2安打という結果だからではなく、正直、それほど強い印象はありませんでした。もともと速い球に対し苦手意識がないこともありますが、真っすぐもそれほど速いとは思わなかった記憶があります。

真っすぐだけなら


 しかし、翌07年、再び日本シリーズで対戦したときは驚きました。このときは速かったですね。マウンドからホームまでが近く感じられ、一歩前から投げているのかと思ったくらいです。

 プロ3年目で体ができたことで、真っすぐ自体が速くなったのは当然ありますが、加えて配球面ですね。最初は変化球中心で組み立てながら、ここぞの場面でズバッと外に真っすぐ、こちらが外を意識したらヒザ元にスライダーを投げてくる。3三振1四球と完敗でした。

 ただ、今の佐々木選手を見ていると、ダルビッシュ選手の2年目より、真っすぐに関しては速いし、完成度は高いと思います。もちろん、3年目のダルビッシュ選手を例に挙げるまでもなく、プロは真っすぐだけで勝てるわけではありません。ただ、球種が増えたことで、悪く言えば、楽に打ち取れる変化球重視になり、真っすぐの球威が落ちてしまった選手を何人も見てきました。

 打者から見て、投手の一番の武器は真っすぐです。真っすぐがあってこそ、変化球も生きてきます。

 佐々木選手も、今は焦らず、二軍でしっかりと真っすぐを磨き、さらなる成長を遂げた姿で一軍に上がってきてほしいと思います。

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング