チームでナンバーワンのスピードを誇る選手だ。足のスペシャリストとしての期待は大きく、セカンドのレギュラーを目指して奮闘中。竜の背番号0を背負った若き韋駄天は、広いナゴヤドームで躍動する日を夢見ている。 取材・構成=牧野正 写真=BBM 内野手/3年目/21歳
高校を卒業して入団した3年前に比べると、たくましさが増した。ファームで多くの経験を積み、少しずつではあるが着実に一軍へと近づいている。持ち味は50メートルを5秒8で走るスピード。足の速さはチームトップだ。下半身のトレーニングでさらに磨きがかかり、盗塁の意識も高まっている。開幕前の練習試合では一軍に同行し、ランニング本塁打も放った。足のスペシャリストとしてチームの誰もが認める存在。昨年はシーズン終盤に初めて一軍の舞台に上がったが、再び声が掛かるのを待ちながらレベルアップに励んでいる。 ──今年はプロ3年目を迎えていますが、そろそろ一軍が見えてきましたか。
高松 昨年までは自分の実力では一軍はまだまだと思っていましたが、自分も少しずつレベルアップしてきて、そろそろ勝負できるというか、勝負しなければとは思っています。
──今年のファームでの成績については、どう感じていますか。
高松 バッティングに関して言えば、昨年までとは違う攻め方をされているなと感じています。苦手なところを徹底的に突かれている感じがして、それで少し壁に当たっています。試行錯誤しながら対応できるようにしています。
──違う攻めというのは。
高松 僕は打席の一番ベース寄りに立つんですけど、昨年まではそれでも外を中心に勝負されていました。でも今年になって内を突いてくることが多くなりました。そこを意識し過ぎてしまうと体が後ろに流れやすいので、そこに気をつけて打席に入っています。
──開幕前の練習試合では一軍に同行し、得意の足でも存在感を見せていたように思うのですが、開幕一軍入りはなりませんでした。自分では何が足りなかったと思っていますか。
高松 一番は守備力だと思います。僕の今の立場というか実力で、すぐにレギュラーになれるとは思っていません。まずは代走からの出場になると思います。そうすると代走で出させてもらって、そのまま守備に就けるかどうかが勝負だと思うんです。そのまま使ってもらえればチャンスが広がります。そういう意味でも鍛えるべきは守備力。もちろんバッティングも必死に取り組んでいますが、優先順位で言えば守備力の強化ですね。
──ポジションは内野手ですが、主にセカンドですか。
高松 一番多く守っているのはセカンドです。でもチーム事情もあって、いろいろなポジションを守っています。外野を守ることもあります。理想は「二番・セカンド」です。
──2年目の
根尾昂選手、1年目の
石川昂弥選手など、後輩たちの活躍も刺激になっているのではありませんか。
高松 今年に入って後輩たちが一軍に上がっていますから、それはありますね。焦りはありませんが、悔しい気持ちはあります。刺激になっているのは間違いありません。僕も3年目ですし、いろいろと気合を入れていかないと。
──ほかのチームの足が速い選手は気になりますか。
高松 そうですね。今年は和田(康士朗、
ロッテ)選手だったり、増田(大輝、
巨人)選手だったり、足のスペシャリストの選手たちがとても活躍していますし、そういう選手がいるチームが上位で戦っているというか、強いという印象があります。自分も足でチームに勢いをつけ、上位に導く選手になれたらとは思います。
──その意味でも盗塁の数をもっと増やしたいところでは。
高松 数もそうですけど成功率を上げたいです。盗塁も自分の中で積極的にできるようになってきているし、成長した部分もあると思うので、そこはアピールしたい部分です。
──成長した部分とは。
高松 スタートでの空回りがなくなりました。下半身のトレーニングの成果だと思うのですが、足下が安定してスタートが以前よりも切りやすくなり、それでリードも余裕をもてるようになりました。
──野球以外の部分で高松選手のことをもっと教えてください。
高松 本当にマイペースです。いつも自分の世界に入っているような……無理に人に合わせたくないというのもあって、それは自分の長所でもあり、短所でもあると思っています。あと負けず嫌いな面もありますね。
──これだけは誰にも負けないという部分はどこですか。
高松 足ですね。一塁から三塁までのベースランニングです。
──理想の選手は。
高松 荒木(雅博、一軍コーチ)さんですね。塁に出て走って守ってとチームになくてはならない、勝つために必要な存在になりたいです。
守備力の向上が一軍入りのポイントとなる
【自身の性格を自己分析】
良くも悪くもマイペース
【ココは誰にも負けない!】
一塁から三塁のベースラン