亀井の最終打席はサードゴロ。そのあと一度ライトの守備に就いてから交代した
中嶋監督、本を出したら
優勝争いが佳境を迎えている。というか、残り試合はわずかというのに佳境のままと言ったほうがいいかな(10月24日現在)。
セは
ヤクルトが逃げ切るかと思ったらいきなり足踏みをし、その間に
阪神が差を詰めた。パは
オリックスと
ロッテの戦いが熾烈(しれつ)だ。特に
吉田正尚の負傷離脱で一気に落ちるかと思ったオリックスがしぶとかった。
オリックスの原動力は
山本由伸と新人王候補の20歳、
宮城大弥の左右の先発だろう。宮城は疲れもあって一時期球威が落ちていたが、21日の
西武戦(京セラドーム)では完全ではないが戻っていた。ああいう緩急を使う投手は“急”が落ちると“緩”も使えなくなる。CSに向け、楽しみな存在となっている。
でも、オリックスはこれまで2年連続最下位でしょ。確かにいい選手がいながらもったいないとはずっと思っていたし、このコラムでも何度も書いたけど、何がどうなってこんなに強くなったのかな。
中嶋聡監督のマジックというなら、ぜひベースボール・マガジン社で本を出してほしい。バカ売れするんじゃないの。
もちろん、ロッテもすごい。離されてもあきらめず、よく食らいついてきた。ただ、一つ残念なのは試合の消化数の違いかな。屋外とドームで本拠地が違うから仕方ないけど、ロッテのほうがかなり多かった。同じペースくらいで来たら、あの1994年、
巨人と
中日の最終戦同率首位決戦「10.8」みたいな盛り上がりになったと思う。
立浪1年目はコーチ次第か
監督人事も進み、セでは中日の
与田剛監督、パでは
ソフトバンクの
工藤公康監督、
日本ハムの
栗山英樹監督が退任する。俺は3人とは付き合いが長く、最近は新型コロナ禍でできなかったが、球場やキャンプに行ったら、いろいろな話をしてもらっただけに、残念ではある。
現時点では3チームのうち中日が次期監督を
立浪和義に要請していることを明らかにしている。立浪は選手時代に対戦があるが、クレバーなタイプだったし、解説を聞いていても頭が切れ、野球をよく知っているなと思う。ただ、チームをつくるのは、選手や解説者とは違った意味で難しいからね。特に立浪は選手兼任でしかコーチ経験がないし、最初は戸惑うことが多いと思う。
一つのカギはコーチ陣じゃないかな。チームは勝ったり負けたりするし、選手はミスしたり成功したりする。サポートするコーチが、それぞれに責任を持って、時には嫌われ役となれるかどうか。俺は1年目の新生立浪中日を生かすも殺すもコーチ次第かなと思っている。
あとは引退試合も毎日のようにやっているが、巨人では、23日のヤクルト戦(東京ドーム)で、ずっとチームを支えてきた
亀井善行の引退セレモニーがあった。彼は記録にも記憶にも残る選手というのかな、サヨナラ打も多かったし、俺もコーチ時代、亀井のおかげで勝てた試合がたくさんある。
ケガの多い選手で1年間まともにやっていたことがほとんどないけど、どんなときでも明るく、気配りもできるいい男だった。あいつのことを悪く言うヤツはいないと思うよ。誰からも愛された男だった。そうそう、俺はあいつになぜか「ダンディさん」と呼ばれ、いつも「うるせえ」と言っていたっけな。
亀井がCSに出るのかどうかが分からないけど、出るなら1つでも2つでもファンの脳裏に残るプレーを増やしていってほしい。あとはこれからだ。すぐにかどうか分からないけど、絶対ジャイアンツに帰ってきて、自分のように首脳陣や仲間に信頼され、ファンに愛される選手を一人でも多く育ててほしいと思う。
と書いていたら
大竹寛も引退らしいね。今回はスペースがないから、そのうち書くよ、寛。お疲れさまでした。