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裏方が見たジャイアンツ

香坂英典コラム 第91回 第二の故郷 宮崎【3】

 

青島の「鬼の洗濯岩」を訪れた新人時代の松井秀喜


頭にまず浮かぶのは「食」


 僕らは仕事として宮崎の地でプロ野球のキャンプを行う。また、プロ野球の関係者は日本中の多くのファンの方々が待ち望み、公式戦が行うことができる野球場があればどこへでも出掛けて行き、プロ野球の興行を行う。それは二軍戦なども含め、日ごろの鍛錬の成果を出して、ジャイアンツを応援してくれるファンの目の前で対戦相手に勝つことを目標とし、最高のプレーを披露するために日本中を回る。

 僕たち裏方も、その運営のために競技者とともに帯同し、日本各地に足を運んだ。ただ「遠征」で目に入るものと言えば、移動時の景色、宿泊先、そして野球場の三つくらいなもので、それ以外のものは記憶をたどってみてもあまり浮かんでこないものなのである。

 僕らの宿舎がある青島は「神話の国」、宮崎を代表する観光地である青島神社があり、国の特別天然記念物とされ、縁結び、安産、航海、交通安全の神としてご神威を賜れるそうだ。海に突き出た青島神社まで続いている橋を歩いて渡ると島の周囲をぐるりと取り巻く、鬼の洗濯板と言われる岩が一面に広がる。ゴツゴツとしたその形状と大きさは、まさに洗濯板という名前にふさわしい雄大な自然を感じさせる。

 そのほか、キャンプでの楽しみと言えば、その土地の名産品や名物となる食べ物が食べられるというくらいのことだけに収まる。長年通った宮崎だが、仕事に追われる毎日であったため、それはやはり例外ではなく、第二の故郷としてこうして思い起こしても頭に浮かぶのはまず「食」の話になる。

 唐突だが、宮崎のお酒と言えば何と言っても「焼酎」だろう。それも有名なのは芋焼酎であり、僕がその芋焼酎と出合ったのは入団時だった。当然、その嗜み方も地元仕込みになる。僕が巨人軍に入団した1980年、初めて芋焼酎を口にしたが、初めのころ、焼酎を口にしたときはやはり「強い! ウーン」とうなってしまった。正直言って芋焼酎特有のにおいが鼻に残る。そのころ一緒に宮崎に来たチームメートも同様の感想を言っていたが、どうしてどうして、僕たちは、この宮崎の焼酎で男を磨かれることになる。数年後には「焼酎ブーム」がやって来た。芋焼酎には飲み方があるということは知っていたが・・・

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