週刊ベースボールONLINE

石田雄太の閃球眼

石田雄太コラム「“プロ初先発”で見つけた名勝負になり得る対決」

 

今季、プロ初先発を果たした巨人・井上は今後、名勝負を演じられるか


 毎度の昔話で恐縮ながら、人生で最初に買った野球マンガは『侍ジャイアンツ』(原作:梶原一騎、漫画:井上コオ)の5巻だった。1974年のことだから、今から半世紀近くも前だ。

 なぜ1巻でなく5巻だったのかは記憶にないのだが、小学3年生のお小遣いには限りがあり、おそらく1冊しか買えない中で250円の最新刊を手に取ったのではないかと想像する。野球を見始めたばかりでルールにも詳しくない小学生は、5巻の最初の数ページを読んで、主人公の番場蛮が大事な朝を迎えたことを理解した。

 ――朝日が昇る東京巨人軍の二軍宿舎。カーテンの隙間から差し込む陽射しに否応なく起こされてしまう番場蛮。目を覚ますや、雄叫びを上げて腕を撫(ぶ)す番場に同部屋の先輩、八幡太郎平が、「ハハン、無理もなかったな、今日は番場にとって運命の日、ヤクルト戦に初の先発投手として登板する当日の朝だもんな」と語りかける。

 そうか、プロ野球のピッチャーにとって初めて先発するというのはそんなに特別なことなのかと、この『侍ジャイアンツ』を読んで初めて知った。番場の初先発は神宮球場でのヤクルト・アトムズ戦。立ち上がりから4者連続三振を奪いながらも・・・

この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。

まずは体験!登録後7日間無料

登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。

石田雄太の閃球眼

石田雄太の閃球眼

ベースボールライター。1964年生まれ。名古屋市立菊里高等学校、青山学院大卒。NHKディレクターを経て独立。フリーランスの野球記者として綴った著書に『イチロー・インタビューズ激闘の軌跡2000-2019』『大谷翔平 野球翔年』『平成野球30年の30人』などがある。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング