甲子園のヒーローにして本格派の高卒ドライチ右腕。次世代のエース候補として大きな期待を受けながら、思うような結果を残せなかった。中継ぎ起用となった今季、ようやくつかんだチャンスをさらなる成長のブースターとする。 取材・構成=杉浦多夢 写真=井沢雄一郎、榎本郁也、BBM 一軍で腕を振る喜び
甲子園のヒーローとして大きな期待を受けながらドラフト1位で入団し、1年目から先発勝利を挙げたものの、その後はなかなか期待に応えることができず。3年目の昨季は一軍登板がわずか1試合に終わった。だが、中継ぎへの配置転換で一軍の戦力となっている今季が転機となるはずだ。与えられた場所で、さらなる経験を重ねながら、近未来の先発ローテーション入りを誓う。 ――今季は中継ぎとして一軍の戦力になっています。昨季までとは違った充実感があるのでは。
吉田 昨年まではコーチからの課題ひとつとっても、ファームでしっかり特訓を積み重ねる、といった感じのものが多かったですが、今季は先発こそできていないですけど、一軍で投げることができているのはすごくうれしいことです。
――中継ぎとしての調整の違い、難しさはありますか。
吉田 極力ムダを省けるようにしています。中継ぎは初めてでしたが、前半戦は体もフレッシュで、分からないまま一生懸命という感じでしたが、徐々に疲れも感じるようになり、体のケアの面も含めて工夫しながらの調整が続いています。試合前の練習での動きから、体の状態を考えながら練習量を調整したり、だいぶ自分のやりたい流れ、ルーティンができてきたかなと思います。
――先発のときとはブルペンでの球数も変わってくると思います。
吉田 先発のときは自分の思い描いている組み立てがいくつかあり、そのための球種も増えるので、キャッチャーが座ってから30球くらいは投げていました。中継ぎだと自分のタイミングで肩をつくることができるとは限らないですし、基本的には1イニング勝負なので、その日に調子のいい球を投げればいいし、球種も絞られます。キャッチボールはしますが、キャッチャーが座ってからは10球から15球くらいですね。
――とはいえ、将来は先発で、という思いもあるのでは。
吉田 シーズンの最初のほうに中継ぎ起用が決まったときも、先発としてやっていくために自分のパターンを増やしたり、何よりストレートに絶対的な自信が持てるように、ということをコーチとも話をして、自分もそういう気持ちでやってきました。
――中継ぎで登板を重ねてきた中で、先発につながるものはつかめましたか。
吉田 先発でも使えるような自分の組み立てというのはシーズンを通して増やしていかないといけませんし、ストレートに関しては、まだなかなか空振りは取れていません。ストレートの割合が高い中で、バッターの頭にもストレートがある中でも空振りが取れるようになれば、ストレートとのコンビネーションで先発としての組み立てもできるようになると思うので。まずは中継ぎで、自分の思ったとおりのストレートをしっかり投げられるようにしたいと思います。
――実際、投球の約7割がストレートです。自分の中での手応えや精度は開幕当初から上がっていますか。
吉田 少しずつ自信を持って投げることができるようになってきました。その中で・・・
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