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<1964年5月5日>守備シフトは過去の遺物? 広島が王貞治対策に「王シフト」を初めて敷いた日

 

この2日前の阪神戦[後楽園]、王貞治[右]は4打席連続本塁打を放った。ちなみにこの時代の5月4日は平日[月曜]で、この年は試合がなかった


王は前の試合で4打席連続HRだった


 引っ張り専門の打者と対戦する際、守備側が打球方向へ定位置から極端に移動するシフトを敷くことがある。当然逆方向はがら空きになるわけで、試合を見ているファンからすれば「空いているところに流し打ちすればいいのに……」と思うが、そう簡単にはいかないようだ。実際効果が出るケースが多々見受けられる。が、少々やり過ぎたようで大リーグでは今年から極端な守備シフトは禁止された。日本も近いうちに後に続くかもしれない。

 さて、日本において「極端な守備シフト」が初めて大いに話題になったのは、1964年5月5日に後楽園球場で行われた巨人広島、ダブルヘッダー第1試合(7回戦)でのことだった。王はこの日までに打率.405、17本塁打と絶好調。3日の阪神戦(後楽園)では4打席連続ホームランを放っていた。一本足打法になって3年目、24歳の誕生日を目前に控えた王は波に乗っていた。

 1回裏、日本記録の5打席連続ホームランをかけて、三番の王が左打席に入った。そのときだった。広島の内野手と外野手がライト方向に大移動したのである。二塁手の阿南準郎は一、二塁間の中間あたりに、遊撃手の古葉竹識は二塁の右側に移った。二、三塁間には三塁手の興津立雄が立っている。外野手も大きくライト側に寄った。フェアグラウンドの左3分の1には一人の野手もいない。これが世に言う「王シフト」である。約4万人の観客はどよめき、王も戸惑った表情で苦笑いを浮かべた。古葉が二塁付近にいるのを見て、球審の富澤宏哉は・・・

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